【完全版】住宅宿泊管理業者に委託できる6つの業務!費用相場や手続きを解説

「住宅宿泊管理業者にはどのような業務を委託できるのかな?」

「自分でもできないの?」

「管理委託費用がわからないため不安」

2018年に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)では、適正な民泊運営のために、住宅宿泊管理業者への委託に関する事項が明記されました。民泊新法の施行以前、管理者の不在により、宿泊者対応や近隣住民の苦情などへの対応が不十分であったためです。

しかし、住宅宿泊管理業者に委託する業務内容や手続きがわからず不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、住宅宿泊管理業者への委託について以下の内容を解説します。

民泊新法で定められた委託方法について詳しく紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

【運営形態別】住宅宿泊管理業者への委託方法

住宅宿泊管理業者への管理業務の委託方法は、民泊の運営形態によって異なります。こちらでは「家主不在型」と「家主居住型」における委託方法について解説します。

一つひとつ見ていきましょう。

1.家主不在型

家主不在型とは、宿泊者が滞在している間、民泊運営者が不在となる運営形態です。家主不在型の場合、すべての管理業務を委託する「完全代行」が義務づけられています。

管理業務の委託先は、国土交通省に登録された「住宅宿泊管理業者」に限定されています。住宅宿泊管理業者とは、宅地建物取引士など専門的な資格を持った個人または法人です。住宅宿泊管理業者は全国に約2,500社あり、国土交通省の「住宅宿泊管理業者登録簿」から一覧を確認できます。

2.家主居住型

家主居住型とは、宿泊者がいる間、運営者が常駐している運営形態です。運営者の住居の一部を民泊として利用する場合などが、家主居住型にあたります。

家主居住型の場合、管理業務委託は義務ではありません。必要に応じて、運営者の手の回らない管理業務を、民泊運営サービスを行っている事業者に委託できます。委託先は、国土交通省登録の住宅宿泊管理業者でなくても問題ありません。

運営形態別の委託方法について詳しく知りたい方は、関連記事「【初心者必見】民泊の管理方法は2通り!委託が必要なケースと自分で行う方法を紹介」をあわせてご確認ください。

住宅宿泊管理業者に委託できる6つの業務

民泊を行う上で義務づけられている管理業務は、民泊新法の五〜十条で定められています。家主不在型の場合、義務づけられている管理業務のすべてを住宅宿泊管理業者に委託しなければなりません。

こちらでは、住宅宿泊管理業者に委託できる6つの業務について解説します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.宿泊者の衛生の確保

宿泊者の衛生の確保とは、宿泊施設として清潔な環境を維持するための業務です。主に、以下の4つの業務が挙げられます。

衛生確保の業務は、住宅宿泊管理業者から専門業者に再委託することが一般的です。部屋の清掃のほか、ゴミの処理や寝具の洗濯など煩雑な業務が多くあるためです。

2.宿泊者の安全の確保

宿泊者の安全の確保とは、住宅設備が正常に機能しているか確認する業務です。不具合を発見した場合は、運営者への報告や修理業者の手配まで行います。主な点検箇所は、以下の7つです。

住宅設備の故障は宿泊者の利便性を損なうばかりか、怪我を負わせることにもつながるため定期的な点検が必要です。

3.外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保

民泊は外国人観光客が多く利用するため、外国語での各種案内が必要です。例えば「風呂やエアコンなどの住宅設備の使用方法」や「緊急時の管理業者や医療機関などへの連絡先」を、外国語で室内に掲示しておくなどです。

また住宅宿泊管理業者の中には掲示だけではなく、外国語対応できるコールセンターを設置し、緊急時などに連絡できる体制を備えている場合もあります。

4.宿泊者名簿の作成・保管

宿泊者名簿の作成・保管とは、宿泊者の氏名や宿泊日などの情報を管理する業務です。宿泊者名簿は、3年の保管が義務づけられています。

宿泊者名簿の記入は、タブレットなどを活用して宿泊者から記入してもらうことが一般的です。記入してもらった情報は、都道府県への定期報告として活用できるように、宿泊の人数や日数を集計して管理しておきます。

5.周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明

宿泊者が周辺地域に悪影響を与えないように注意喚起する業務は、民泊の適正運営のために欠かせません。民泊は、住宅地で営業できるため、騒音など周辺地域への悪影響が懸念されているためです。

具体的には、チェックイン時の案内や室内への掲示で宿泊者にルールを周知します。外国人宿泊者向けに、外国語での説明書類を準備しておくことが一般的です。

6.苦情等への対応

苦情等への対応とは、周辺住民がいつでも管理業者に連絡できる体制を備え、トラブルに対処する業務です。

一般的には、管理業者への連絡先を宿泊施設の外に掲示しておき、近隣住民が連絡できるようにしておきます。苦情の受付体制は管理業者によって異なりますが、24時間・365日対応のコールセンターの設置や、必要に応じて現地にスタッフを派遣できる体制を取っています。

民泊のトラブル事例について詳しく知りたい方は、関連記事「【これで解決】民泊のトラブル事例5選と3つの対策【相談先も3つ紹介】」をあわせてご確認ください。

住宅宿泊管理業者からの再委託は可能【運営者自身でもOK】

住宅宿泊管理業者は、受託した管理業務の一部を他の事業者に再委託できます。例えば、清掃業務を専門業者に再委託するケースは多くあります。

また、運営者自身が再委託先となり、管理業務の一部を引き受けることが可能です。家主不在型の場合は完全代行での委託が義務づけられているため、一部業務だけを委託できません。しかし、完全代行で住宅宿泊管理業者に委託した上で、業務の一部を自身に再委託してもらうことは認められています。

一部の管理業務を再委託で引き受けることは、管理委託費用を節約できるメリットがあります。管理業務の一部を自身でも担える場合は、再委託を検討してみると良いでしょう。

住宅宿泊管理業者への委託費用の相場【売上20%+清掃料金】

住宅宿泊管理業者への委託費用は「売上の20%+清掃料金」が相場です。清掃料金を含めた委託費用の総額は、売上の50〜70%程度になります。

清掃料金は部屋の大きさによって異なり、1K・1LDKの場合3,000〜5,000円程度です。月間の売上が100,000円、清掃料金4,000円で10回行った場合、委託費用の総額は60,000円になります。

部屋が広くなるに従い清掃料金が上がるため、2LDKなど複数の部屋がある物件では、委託費用の総額が高くなることを理解しておきましょう。

住宅宿泊管理業者への委託費用について詳しく知りたい方は、関連記事「【徹底解説】住宅宿泊管理業者の費用相場は「売上の20%」業務別の料金を紹介」をあわせてご確認ください。

住宅宿泊管理業者との委託契約の手続き3ステップ

住宅宿泊管理業者との委託手続きは、民泊新法の三十三〜三十四条で定められています。こちらでは、委託契約の手続きを以下の3ステップで解説します。

一つひとつ見ていきましょう。

1.立地や建物構造などの情報を通知する

運営事業者から住宅宿泊管理業者に、民泊施設の立地や建物構造などの情報を通知します。民泊施設の立地や建物の構造によっては、料金の変更や委託できないケースがあるためです。

多くの場合、住宅宿泊管理業者に問い合わせると、必要な情報についての照会を受けます。住宅宿泊管理業者は、通知された内容を元に見積もりや業務内容を作成します。

2.住宅宿泊管理業者からの業務内容などの事前説明を受ける

住宅宿泊管理業者は、委託契約を結ぶ前に、以下の項目について運営事業者に説明することが義務づけられています。

項目内容
管理の対象となる物件・設備管理業務を行う物件の住所や部屋番号、住宅の設備
管理業務の実施方法具体的な管理方法や緊急時の連絡先など
管理業務の実施に必要な経費や備品水道光熱水費や消耗品の費用の支払いに関する取り決め
再委託の内容再委託する場合の業者名や内容
責任及び免責運営者と管理業者の責任の所在に関する取り決め
契約の期間契約の始期と終期
契約の更新・解除契約の更新や解除の条件や方法の取り決め

後々トラブルにならないように、業務内容だけではなく実施体制や責任の所在などについても細部まで確認しておくことが大切です。

3.契約を締結する

事前説明の内容に合意できた場合、委託契約を結びます。契約書の雛形は、国土交通省が公開している「住宅宿泊管理受託標準契約書」を活用すると良いでしょう。

受託実績が豊富な住宅宿泊管理業者の場合、契約手続きは事業者側で主導してくれるため、特別な心配はいらないでしょう。

住宅宿泊管理業者の変更は「民泊制度ポータルサイト」から行う

住宅宿泊管理業者を変更するには「住宅宿泊事業届出書」の内容変更が必要です。

住宅宿泊事業届出書の変更は「民泊制度ポータルサイト」の「民泊制度運営システム」から手続きができます。また、都道府県に「届出事項変更届出書」を提出する方法でも構いません。手続きには、変更する住宅宿泊管理業者との「委託契約書」が必要です。

住宅宿泊管理業者への委託は民泊新法のルールに即して行いましょう

住宅宿泊管理業者への委託は、内容や契約方法まで、民泊新法で定められています。委託契約の際には、民泊新法で定められたルールに即して行いましょう。

民泊新法の内容については「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」で詳しく解説されています。また「民泊制度ポータルサイト」では、管理業務委託に関する基本的な事項がまとめられているので確認してみると良いでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次