民泊運営代行とは登録事業者が行うサービス!メリット・デメリット8選と比較ポイントも解説

民泊運営代行とは登録事業者が行うサービス!メリット・デメリットと比較ポイントも解説

「民泊を運営したいが清掃やメンテナンスを自分だけでできるか不安」
「民泊の運営代行ってどこまで依頼できるの?」
「金額やサービス内容を含めて信頼できる民泊運営代行業者に依頼したい」

民泊運営代行は、オーナーが業務の全部もしくは一部を外注できるサービスです。自分ひとりでは手が回らなかったり、慣れない業務で不安に思ったりするなか、運営を代行してくれるサービスがあれば便利ですよね。

とはいえ、まだまだ民泊運営代行業者についての情報は少なく、一体どんなサービスなのか不明点も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、以下のテーマについて解説します。

  • 民泊運営代行の基本
  • 委託が必要なケースと業務
  • 民泊運営代行のメリット・デメリット
  • 民泊運営代行業者の比較ポイント

これから民泊運営代行を利用しようか迷っている方は、サービス選びや業者選びの際に参考になる内容なので、ぜひ最後までお読みください。

目次

民泊運営代行とは?委託の必要性についても解説

民泊運営代行とは?委託の必要性についても解説

「民泊運営代行」とはどのようなサービスを指すのでしょうか。ここでは法律で定められた内容を含めて、以下の3点から解説します。

  1. 民泊運営代行とは
  2. 委託が必要なケース
  3. 委託が必要な業務

いずれも委託する前に理解しておきたい基本事項となりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 民泊運営代行とは

民泊運営代行とは、オーナーが業務の一部または全部を外部の業者へ委託するサービスです。宿泊施設の管理運営に関わる業務を幅広く行い、オーナーは負担なく民泊運営を行えます。たとえば仲介サイトからの予約管理やチェックアウト後の清掃まで、ゲストを受け入れる前と後の業務を広範に実施可能です。

また、民泊運営代行業者とは「住宅宿泊管理業」の登録を行っている事業者を指します。民泊の代行や管理が行える「住宅宿泊管理業者」には、2018年に施行された民泊新法で規定された資格や実務経験を持つなど、一定の条件を満たした人のみ登録できます。

基本的にはオーナーが「自分では対応しきれない業務」を委託しますが、民泊運営には法律上「委託が必須となるケース」もあるため事前に確認が必要です。

2. 委託が必要なケース

民泊運営代行業者(住宅宿泊管理業者)への委託が必要となるケースは、以下の2つです。

  • 届出住宅の居室が5室を超えるとき
  • 家主不在型で民泊運営するとき

ただし、上記のケースに該当してもご自身が「住宅宿泊管理業」の登録を行っている場合は運営代行を依頼する必要はありません。また、オーナーの自宅が届出住宅と違っても、同じ敷地内にある場合(離れ、別棟等)や隣接している場合は不在型と見なされず、運営代行が不要になるケースがあります。

参照元:国土交通省観光庁「管理業務の委託について」

3. 委託が必要な業務

民泊新法において運営代行業者(住宅宿泊管理業者)への委託が必要となる業務は、以下の3つです。

  • 宿泊者等への対応に関する業務
  • 清掃・衛生業務
  • 住宅・設備管理及び安全確保業務

それぞれの具体的な業務例も、あわせて見ていきます。

「宿泊者等への対応に関する業務」の具体例

  • 宿泊者への鍵の受け渡し
  • 本人確認、名簿作成、名簿の備え付け
  • 未チェックイン時の報告
  • 騒音防止等の宿泊者への説明
  • 周辺住民からの苦情への対応
  • 宿泊者による毀損など有害行為への対応
  • 長期滞在者への対応
  • 鍵の返却確認
  • チェックアウト後の確認(毀損、忘れ物など)

「清掃・衛生業務」の具体例

  • 定期的な日常清掃(事業系ゴミの処理も含む)
  • 寝具・衛生用品の洗濯と設置
  • 備品の管理や補充

「住宅・設備管理及び安全確保業務」の具体例

  • 設備の維持管理(ライフライン、鍵など)
  • 非常用照明器具の設置や点検
  • 外国語を用いた連絡先の記載(警察、医療機関など)
  • 建物や設備に関して宿泊者からの苦情対応
  • 届出事務の代行(官公庁、電力、ガスなど)

上記の業務でも、代行業者から「再委託」を受ければご自身で行えます。ただし、3つの業務すべてをご自身で受託することはできません。一部は必ず民泊運営代行業者(住宅宿泊管理業者)が行わなければならない決まりです。

観光庁の実態調査によると、法律で規定された3つの業務を全部委託している事業者の割合は14.7%、一部委託している事業者の割合は20.1%という結果が出ています。

引用元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」

民泊の管理方法について詳しく知りたい方は、関連記事「【初心者必見】民泊の管理方法は2通り!委託が必要なケースと自分で行う方法を紹介」をあわせてご確認ください。

民泊の運営代行は2種類

民泊運営代行の種類

運営代行の利用を検討しようと思ったとき「委託する業務を選べないのか?」と気になる方は多いのではないでしょうか。ここでは、一般的に見られる以下2つの方法を紹介します。

  1. 全部委託
  2. 一部委託

それぞれの特徴に触れますので、ご自身にとってどちらがマッチしているのかイメージしながらお読みください。

1. 全部委託

こちらは「オーナーに代わってゲスト対応や準備清掃など、民泊運営のすべての業務を委託する方法」です。例えば以下のような方に向いています。

  • 時間と手間をかけずに民泊運営に携わりたい人
  • 自宅と届出物件が離れた場所にある人

委託費用は発生しますが、オーナーは自分の手をほとんど動かさずに収入を得られます。全部委託を利用する際は、委託費用を払っても利益が残るようにシミュレーションしておくことが重要です。

2. 一部委託

こちらは「清掃のみ」「顧客対応のみ」など、一部の業務を委託する方法です。例えば以下のような方に向いています。

  • ご自身で積極的に民泊を運営したいが、法律面で管理業者との契約が必須の人
  • 行政への届出やインテリアコーディネートなど、特定の業務のみ外部に依頼したい人

事業者として試行錯誤しながら運営に携わることになりますが、その分ゲストとの交流の機会があり、より経営感覚が身につきやすいでしょう。例えば周辺のライバル物件との差別化を図ったり、シーズンに応じた料金を設定したりするなど「施設がどうしたら良くなるか」を積極的に考え、工夫する機会が増えます。

 民泊運営代行を利用する5つのメリット

民泊運営代行を利用するメリット

「運営代行を利用したいが、どんな良さがあるのか具体的に知りたい」と感じる方に向けて、ここではサービスを利用する以下のメリットを紹介します。

  1. 遠方に住んでいても民泊運営できる
  2. 時間と手間をかけずに民泊運営できる
  3. 専門家による運営サポートが受けられる
  4. 行政手続きなど法的サポートが期待できる
  5. 苦情について24時間対応してもらえる

運営代行を上手に活用することで、より魅力的な宿泊施設を提供できるので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 遠方に住んでいても民泊運営できる

運営代行を利用すると「ふだん生活している住宅」と「届出住宅」が離れていても民泊運営が可能となります。運営代行に業務を委託すれば、清掃など現地で必要な作業のために都度住まいから離れた届出住宅まで赴かなくて済みます。

たとえば「都市部に住んでいるが空き家になった実家が地方にある人」「都会と地方を行き来する二拠点生活を行っている人」などが想定されるでしょう。ただし、地方において民泊運営代行業者(住宅宿泊管理業者)が少ない点が課題です。国土交通省が地域ごとに業者の登録簿を公開しているので、必要な場合は確認してみてください。

参照元:国土交通省「住宅宿泊管理業者登録簿」

2. 時間と手間をかけずに民泊運営できる

運営代行を利用することで委託した業務の範囲内はお任せできるので、オーナーの時間と手間の節約につながります。たとえば、民泊運営においては以下のような業務が継続的に発生します。

  • 予約管理
  • ゲストとのチャットのやり取り
  • チェックイン、チェックアウト対応
  • 本人確認、名簿管理
  • 清掃、客室の整理整頓
  • 備品の在庫管理、買い出し

上記の作業にかかる時間と手間を削減することで、本業や家事・育児などの事情があっても問題なく運営できるでしょう。繁忙期と閑散期を気にせず、ご自身のスケジュールを組みやすい点もメリットです。

3. 専門家による運営サポートが受けられる

業界に詳しく専門知識を持った運営代行業者は、オーナーにとって心強い存在です。民泊運営では以下のような「経営管理に係る業務」において、専門性が求められる場面があります。

  • 宿泊料金の価格調整
  • 仲介業者へのリスティング(Airbnbなどの仲介サイトに宿情報を掲載すること)
  • 予約管理、予約対応

繁忙期と閑散期の価格調整は、実務経験や周辺同業者のリサーチが必要です。また、仲介業者によって予約サイトの使い勝手が難しかったりユーザーから見えやすい場所に表示されなかったりと、コツを習得するまでに時間がかかるでしょう。その点、多くの運営代行業者は経験と専門知識を有しています。

観光庁の実態調査によると「経営管理に係る業務」を外部に委託している割合は、全部委託で16.9%、一部委託で14.3%とのアンケート結果が出ています。

参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」

4. 行政手続きなど法的サポートが期待できる

諸官公庁への届出も運営代行で委託できます。民泊新法の場合、民泊運営したい住宅がある都道府県が窓口です。法律で定められた手順に沿って準備を進めていきますが、内容によってはやや難解な手続きもあります。

例えば、民泊に備えるべき消防設備を定めた「消防法」への対応は、初めての方にとっては複雑に思えるでしょう。その点で運営代行業者に依頼すれば、届出段階からお任せでやってもらえます。

観光庁の実態調査によると「事業届出に向けて行政書士等へ委託費用を支払った」と答えた物件は34.3%で、10件中3〜4件が行政書士などへ手続きを委託しています。

参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」

5. 苦情について24時間対応してもらえる

民泊を運営していく中で、近隣等から苦情がきた場合、運営代行に委託していれば24時間対応してくれます。住宅宿泊事業法では以下の内容が明確に示されており、運営代行は周辺地域の住民から苦情等があった場合には「常時応答」を行い、必要に応じて現場に赴き確認を行うなどの対応が求められています。

住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならない。

住宅宿泊事業法(苦情等への対応)第十条

民泊新法ができた背景には「地域住民とのトラブル防止の必要性」があるため、苦情対応の定めが明確にされています。観光庁によると「これまでに近隣等から苦情を受けたことがある物件」は全体の20%以下ではあったものの、決して少ない数字ではありません。苦情の内容としては、以下のようなものがあります。

  • 騒音
  • ゴミ
  • タバコ
  • 宿泊者の徘徊
  • 不適切な駐車・駐輪

運営代行へ委託すればこれらの苦情に昼夜問わず対応してくれるため、もしもの時でも安心です。ただし出動に際し、別途費用がかかる点は留意しておきましょう。

民泊運営代行の3つのデメリット

民泊運営代行のデメリット

民泊運営代行業(住宅宿泊管理業)は、2018年の民泊新法施行に合わせて登録制度ができました。順次業者の登録数は増えているものの、運用が始まって間もないためデメリットもいくつかあります。そこでここでは、以下3つの気になる点を紹介します。

  1. パッケージ商品が多く費用が高い
  2. ゲストとのコミュニケーション機会が減少する
  3. 業者によってサービスの品質に差がある

いずれもオーナーの知識と工夫次第で対策できるため、しっかりと内容を把握しておきましょう。

1. パッケージ商品が多く費用が高い

運営代行の料金体系はパッケージ化されていることが多く、費用が割高になりがちです。全部委託の場合、売上の15~25%程度(プラス清掃代)の利用料金になることが多いです。売上金額に応じた変動制が主流ですが、予算管理がしやすい月額定額制をとっている業者もいます。

一方で代行業者から「再委託」を受ければ、オーナー自身が一部の業務を行うことも可能です。全部委託に比べ、一部委託ができて融通がきくサービスを提供する代行業者はまだ少ないですが、適切に業者選定を行うことで経費削減へとつながります。  

2. ゲストとのコミュニケーション機会が減少する

予約時のチャットなど「ゲストとのやり取り」を委託することで、オーナーはゲストとの関係性を築く機会が少なくなります。ゲストとの密なコミュニケーションは「宿の評価」や「ゲストの満足度」につながります。

例えば近隣の飲食店を教えたり、質問や要望に答えたり、小さなコミュニケーションの積み重ねで宿泊施設の評判は上がっていくものです。おもてなしが好きな方や、ゲストとのコミュニケーションを宿の評価ポイントに加えたい方は、ぜひご自身で対応してみるのもおすすめです。

3. 業者によってサービスの品質に差がある

委託した業者によっては、業務の品質が必ずしも良いとは限りません。「日本橋くるみ行政書士事務所」が2017年に主催した「民泊運用代行会社の満足度調査アンケート」の結果では、清掃が汚いといったネガティブなコメントも寄せられたそうです。

このアンケートは民泊新法が施行される直前で運営代行の現状を把握するために行われたものであり、現在の民泊運営代行業者(住宅宿泊管理業者)に対する評価ではありません。ただし引き続き「登録を済ませた業者だから大丈夫」と過信せず、業者の信頼性を調べることや担当者と良好な関係性を築く姿勢は大切です。

参照元:民泊運用代行会社アンケート調査結果 求められる質と今後の課題

民泊運営代行業者を選ぶ際の比較ポイント

民泊運営代行業者を選ぶ際の比較ポイント

民泊運営代行業者(住宅宿泊管理業者)には、法律に基づき一定の業務範囲が定められています。しかし、具体的なサービス内容や料金体系はそれぞれ特徴が異なります。ここでは代行業者選定の際に判断基準となる、以下6つの項目について紹介します。

  1. 料金
  2. 対応エリア
  3. サービス内容
  4. オプションの柔軟性
  5. 口コミ・評判
  6. 法令順守(業者登録の有無)

代行業者はオーナーにとって、民泊運営におけるパートナーのような存在です。業者選定に失敗しないよう、比較ポイントをおさえていきましょう。

1. 料金

売上の15~25%の費用がかかる場合が一般的ですが、中にはオーナーが望むサービスごとに購入できる場合もあります。また月額定額制を取っている業者もあり、固定費として予算を立てやすいのが特徴です。

2. 対応エリア

代行業者が担う業務は現場作業が多いため、地域が限定されている場合があります。サービス内容を調べるより前に、まずはご自身の民泊物件が対応エリア内にあるか確認しましょう。県単位、もしくは1つの区市町村単位であることが多いです。

3. サービス内容

サービス内容は、業者によって多岐にわたります。大きく分けて、以下の3つの業務に基づいてサービスが作られていることが多いです。

  • 宿泊者等への対応に関する業務
  • 清掃・衛生業務
  • 住宅・設備管理及び安全確保業務

何社かのサイトを見比べて、どのような違いがあるのかを把握したうえで検討しましょう。

4. オプションの柔軟性

委託が必要な業務に加えて、インテリアコーディネートなど独自のサービスを用意している業者もあります。ご自身のニーズに合ったオプションがあるか注目してみてください。

5. 口コミ・評判

信頼できる業者を見つけるには、すでにサービスを利用している人の意見をヒアリングできることが理想です。もし知り合いに民泊運営を行っている人がいれば、良い運用代行業者がいないか聞いてみることをおすすめします。

6. 法令順守(業者登録の有無)

代行業者が「住宅宿泊管理業者」の届出を済ませた状態で運営しているのか、念のため確認しておきましょう。国土交通省のサイトでは、地域ごとに業者の登録簿を公開しています。

参照元:国土交通省「住宅宿泊管理業者登録簿」

信頼できる民泊運営代行サービスを見つけましょう

まとめ

民泊運営代行とは、届出から運営の段階で発生する業務を外部委託できるサービスです。国土交通省に登録した「住宅宿泊管理業者」が運営代行を行っています。運営代行には「全部委託」と「一部委託」の2種類があり、オーナーがどの範囲で代行を依頼したいかによって選択します。

民泊運営の負担が軽減ができたり、経営管理や法的サポートを受けられるなどのメリットがある一方で「費用がかかる」「ゲストとのコミュニケーション機会が減少する」といった点には注意が必要です。

業者を選ぶ際は、料金・サービス内容などを確認するのはもちろん、口コミ・評判等をもとに信頼性を調べた上で比較検討しましょう。

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