「民泊を始めたいけど、手間がかかる仕事は業者に任せたい」
「管理を委託するとどのくらいの費用がかかるのか気になる」
「業者に委託しないで自分で管理することもできるの?」
民泊は、一般住宅を活用できるため、比較的容易に始められる宿泊サービス業です。しかし、民泊運営はゲストの対応や清掃など煩雑な管理業務があるため、ホストだけですべての仕事をこなすことは簡単ではありません。
ホストの管理業務を減らすには「住宅宿泊管理業者」の活用がおすすめです。住宅宿泊管理業者であれば、管理業務全般を代行してくれます。
また民泊の運営形態などによっては、管理業務委託が民泊新法で義務付けられているため、住宅宿泊管理業者について理解しておくことは大切です。
そこでこの記事では、住宅宿泊管理業者について以下の内容で解説します。
住宅宿泊管理業者を適切に活用する方法について詳しく紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
家主不在型民泊では住宅宿泊管理業者への委託が必要
住宅宿泊管理業者とは、国土交通省に認可された、民泊の管理業務全般を行う事業者です。住宅宿泊管理業者の一覧は「建設産業・不動産業:住宅宿泊管理業者登録簿 – 国土交通省」から確認できます。
民泊新法(住宅宿泊事業法)によって以下2つのケースで、住宅宿泊管理業者への管理業務委託が義務付けられています。
ゲストの滞在期間にホストが不在となる民泊形態を一般に「家主不在型」、常駐している形態を「家主居住型」と呼びます。家主不在型の場合、ホストによる適切なサービスの提供や、周辺住民への対応が困難であるとの理由から、住宅宿泊管理業者への管理業務委託が必要です。
家主不在型の民泊運営を検討されている方は、住宅宿泊事業者への管理業務委託が必要であることを理解しておきましょう。
民泊運営形態別の管理方法について詳しく知りたい方は、関連記事「【初心者必見】民泊の管理方法は2通り!委託が必要なケースと自分で行う方法を紹介」をあわせてご確認ください。
住宅宿泊管理業者への委託費用の相場【売上の15~20%】
住宅宿泊管理業者への委託費用の相場は、すべての管理業務を委託する「完全代行」の場合「売上額の15~20%+清掃料金」です。清掃料金は、部屋の大きさによって異なり「4,000~8,000円」程度に設定されています。
例えば、月間売上100,000円で委託費用20%、清掃10回で料金4,000円/回の場合、管理委託費用の総額は60,000円です。
委託費用は、売上額の割合のほか、物件や運営形態に応じて料金を算出をした「月額制」の場合もあります。また料金はサービス内容などによって変動するため、各住宅宿泊管理業者に詳しい金額を確認してみてください。
住宅宿泊管理業者に委託できる5つの業務
住宅宿泊管理業者には、ゲスト対応や清掃などのほか、集客や売上管理など様々な業務を委託できます。こちらでは、住宅宿泊管理業者に委託できる5つの業務について解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 予約受付・集客業務
ゲストの予約受付や集客業務は、住宅宿泊管理業者に委託できます。具体的な業務内容は、以下の表のとおりです。
予約サイトへの登録 | Airbnbなどの予約サイトへの物件の掲載 |
予約の受付・管理 | ゲストとの予約に関する連絡調整全般 |
予約サイトへの登録代行は、必要事項の記入や写真掲載などの作業を代行してもらえます。特に、複数の予約サイトの利用を検討している方は、登録代行によって大きく負担を減らせるでしょう。
予約の受付・管理では、日常的な問い合わせ対応をすべて任せられます。住宅宿泊管理業者の多くは、ゲストからのメールや電話などに対して多言語での対応が可能です。また複数の予約サイトを一元管理してもらえるため、確認漏れなどの心配がありません。
ゲストからの予約や問い合わせの対応には手間がかかるため、委託することで業務の効率化が図れます。
予約サイトについて詳しく知りたい方は、関連記事「【2023年最新】民泊向けOTAの6サイトを手数料で比較!特徴や集客のポイントを解説」をあわせてご確認ください。
2. 宿泊客の対応業務
宿泊当日の「チェックイン」や「緊急時対応」の委託が可能です。それぞれの業務内容は、以下の表のとおりです。
チェックイン対応 | カギの受け渡し、本人確認、パスポート確認、帳簿記入、宿泊者名簿の作成 |
緊急時対応 | 緊急時のゲストとの電話・現場対応 |
チェックイン対応では、カギの受け渡しや本人確認などの業務を委託可能です。暗証番号で解錠できるスマートロックや、タブレットを用いた本人確認など、ゲストにとって利便性の高いサービスが提供されています。
また緊急時には、ゲストからの電話や現場対応を任せられます。多くの業者では、多言語での対応が可能であるため、外国人のゲストに対しても質の高いサービス提供が可能です。
3. 清掃・衛生業務
清掃・衛生業務では、主に以下の4つの仕事を委託できます。
室内の清掃 | 室内清掃、消毒、換気 |
ゴミの処理 | 事業系一般廃棄物の回収業者の手配 |
シーツカバー等の洗濯・交換 | ベットのシーツや枕カバーなどの洗濯及び交換 |
備品の補充 | タオル、トイレットペーパー、ティッシュ、シャンプーなどの購入・補充 |
ホスト自身で清掃する場合、宿泊客が満足できる清潔さを保つことは簡単ではありません。また宿泊客のゴミは「事業系一般廃棄物」に当たるため、回収業者を手配するなどの手間がかかります。
ホストが清掃に慣れていない、また十分な時間をかけられない場合は、住宅宿泊管理業者への委託が効率的と言えます。
4. 法的手続きなどの事務
民泊開始時の行政の届出や、都道府県への定期報告に関する事務の委託が可能です。民泊運営事業者は、宿泊日数や人数を2ヶ月に1度、都道府県に報告する義務があります。
報告書の作成や提出の委託は、行政書類の作成や事務作業に慣れていないホストにとって負担となるでしょう。そのような場合は、事務作業の手間を大きく軽減できる住宅宿泊管理業者への委託がおすすめです。
5. 売上・稼働率の管理業務
売上や稼働率に関するデータの管理業務を、住宅宿泊管理業者に委託できます。売上や稼働率は、民泊事業を運営する上で欠かせないデータです。
また売上や稼働率のデータ管理だけでなく、民泊運営のアドバイスや提案を受けることも可能です。例えば「時季に応じた料金設定」や「客室インテリアの提案」などのサポートが提供されています。
規模が大きい民泊事業者にとっては、売上・稼働率の管理業務の委託は、事業運営の効率化に役立つでしょう。
住宅宿泊管理業者への管理委託方法の2つのパターン
住宅宿泊管理業者への管理業務委託は、自身の民泊の運営形態などによって適切な範囲で行うことが大切です。こちらでは、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する2つの方法について解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. すべての管理業務を委託
民泊の清掃からゲスト対応まですべての業務を住宅宿泊管理業者へ委託する形態は、一般に「完全代行」と言います。完全代行は、費用負担は大きくなりますが、ホストに日常的な手間がほとんどかからないことがメリットです。
「家主不在型」や「客室が5つを超える」場合は、完全代行での委託が民泊新法によって義務付けられています。
また、複数業者に業務を分割しての委託を禁止しているため、一社に管理委託しなければなりません。ただし、管理委託を受けた業者から、別の会社への一部業務の再委託は認められています。
画像引用:住宅宿泊管理業者の業務 | 民泊制度ポータルサイト「minpaku」
「家主居住型」の民泊の場合は、民泊運営事業者の責任の元、複数事業者に分割しての業務委託が可能です。
2. 一部の管理業務のみ委託
専門業者に、一部の管理業務のみを委託する形態があります。例えば、清掃業務だけを専門業者に委託するなどの形態です。一部の管理業務のみの委託は、ホストの手間は増えますが、コストを抑えられることがメリットです。
ただし「家主不在型」や「客室が5つを超える」の場合、一部の管理業務のみの委託は、民泊新法で禁止されています。ホストが自身で一部業務を担いたい場合は、委託した住宅宿泊管理業者から、業務を再委託してもらう必要があります。
「家主居住型」の場合は、民泊運営事業者の責任で、一部の管理業務のみの委託が可能です。委託先の事業者は、国土交通省認可の住宅宿泊管理業者である必要はありません。例えば、清掃業務を国土交通省の認可を受けていない専門業者に依頼することは問題ないです。
住宅宿泊管理業者を選ぶ際の3つのポイント
住宅宿泊管理業者は、全国に数多くあり、それぞれサービスに特徴があります。こちらでは、住宅宿泊管理業者を選ぶ際のポイントについて解説します。
一つひとつ見ていきましょう。
1. 対応エリア
住宅宿泊管理業者を選ぶ際は、対応エリアを確認しましょう。予約やゲスト対応はオンラインでできるケースが多いため、対応エリアに制限はありません。
しかし、緊急時の現地対応については業者によって対応できるエリアが決まっています。特に、地方での民泊運営を検討されている方は、対応エリアに注意が必要です。
2. 多言語対応
住宅宿泊管理業者が、ゲスト対応時に対応できる言語の確認が必要です。外国人旅行者の利用が多い民泊では、多言語対応は必須です。
委託する業者によって、対応できる言語が異なります。自身の民泊物件で必要とされる言語に対応しているか、事前に確認しておきましょう。
3. サービス内容
住宅宿泊管理業者は、ゲスト対応や清掃など基本的な管理業務のほか、様々なサービスを提供しています。住宅宿泊管理業者を選ぶ際は、自身に必要なサービスが提供されているか確認しましょう。
例えば、集客に課題を感じている場合は「複数の予約サイトへの掲載や予約管理」「物件の写真撮影」などのサービスを提供している住宅宿泊管理業者を選ぶと良いでしょう。
住宅宿泊管理業者は、ホストの利便性や売上増加のために、手厚いサービスを提供しています。住宅宿泊管理業者を選ぶ際は、自身が苦手としている業務を代行してくれる業者か確認しましょう。
自身の民泊に合った住宅宿泊管理業者を選びましょう
住宅宿泊管理業者は、ゲスト対応や清掃などの基本的な業務のほか、集客など様々なサービスを提供しています。また「家主不在型」や「客室が5つを超える」場合は、完全代行での委託が民泊新法によって義務付けられています。
住宅宿泊管理業者のサービスの活用は、運営の効率化や売上増が期待できます。住宅宿泊管理業者を選ぶ際は、民泊運営上の課題を解決できるサービスを提供している事業者を選びましょう。
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