「自宅を民泊にできるって聞いたけど、開業方法がわからない」
「民泊を運営する場合、住宅ローンはどうなるの?」
「自宅を民泊にするときの注意点を知っておきたい」
民泊を始める際に自宅を利用すれば、物件を購入したり借りたりする必要がないので低コストで参入可能です。ただし、住宅ローンを組んでいる場合は無断で民泊運営すると、一括返済を求められることがあるので要注意です。
他にも自宅で民泊を始める際には、事前に確認すべきポイントがあります。そこでこの記事では、以下の内容について解説します。
自宅を民泊として利用し、収入を増やしたいと考えている方は必読の内容です。事前準備から運営開始までに押さえておきたいポイントが理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
自宅を民泊にすれば低コストで参入できる
自宅を利用する場合は、民泊物件を用意する必要がないため低コストで参入できます。民泊運営のために賃貸物件を用意すると、仲介手数料や敷金・礼金など初期費用がかかります。物件によって異なりますが、初期費用の相場は50〜100万円です。
賃貸物件の場合は、毎月家賃を支払うため固定費が増えます。また、物件を購入するなら、より大きな金額が必要になります。
そのため、新たに物件を用意しなくて済むメリットは大きいです。民泊の開業ににかかる費用を抑えたいなら、自宅を利用するのは大変おすすめです。
【ケース別】自宅を民泊にする場合の事前準備
ここでは以下のケース別に、自宅を民泊にする場合の事前準備について解説します。
賃貸物件と所有物件で準備内容が異なるので、しっかりと確認しておきましょう。
賃貸物件の場合
自宅が賃貸物件なら、まずは賃貸契約書を確認しましょう。賃貸契約書に「転貸不可」という旨の記載があると、民泊運営ができないので要注意です。転貸ができる場合でも、民泊を運営するなら大家さんの許可が必要です。
許可が下りたら、近隣の住民に民泊を運営することを説明してください。自治体によっては近隣住民への説明義務などが規定が定まっていることがあるので、保健所で確認しましょう。
マンションの賃貸物件を使った民泊について詳しく知りたい方は、関連記事「【注意】マンション民泊は管理規約の確認が必要【必要手続きやトラブル対処方法を解説】」をあわせてご確認ください。
所有物件の場合
所有物件の場合は、賃貸併用物件であれば民泊に利用できます。一般的な分譲マンションを利用する場合は、管理組合からも許可をもらいましょう。ただし、マンションの管理規約で民泊が禁止されているケースが増えてきているので、事前に確認しておく必要があります。
また、物件を居住用として住宅ローンを組んでいる場合、基本的には民泊運営ができません。無断で民泊運営を開始すると、ローンの一括返済を求められる可能性があるので、注意が必要です。
ただし、転勤などやむを得ない事情があれば契約者が住まなくても、住宅ローンを引き続き利用できるケースがあります。民泊運営をする場合でも、事情によっては認められる可能性があります。住宅ローンの条件は金融機関によって異なるため、事前に相談しましょう。
自宅を民泊にする場合の始め方6ステップ
自宅を民泊にする場合は、以下の手順で開業できます。
項目ごとの注意事項も説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 事前相談する
民泊運営を始める前には、関係する機関に相談しましょう。建築審査については保健所、消防設備については消防署に相談します。開業申請前の相談を求めている自治体が多いので、地域の情報を確認してみてください。
相談することで、民泊の開業のために不足している設備などが把握できます。開業許可あるいは届出を通過する近道にもなるため、物件をリノベーションする前に相談に行きましょう。
2. 清掃・リノベーションする
ゲストが快適に過ごせるように、清掃やリノベーションを行います。清潔感がないと、ゲストに不快な思いをさせてしまいます。
例えば、浴室や洗面設備にカビが目立つと、ゲストからクレームが入る可能性があるので要注意です。ゲストの気持ちを考え、水回りなど汚れやすい部分は入念に確認しましょう。
ゲストは、民泊サイトの写真などを見て宿泊する物件を決めます。汚れている部屋は選んでもらえないので、利益を上げるためにも丁寧に清掃しましょう。
設備が不足しているなら、リノベーションが必須です。現在居住している自宅の一部を民泊にする場合は、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいて準備を進めます。
住宅宿泊事業法(民泊新法)で定められている必要な設備は、以下のとおりです。
一般的な住宅に備わっている設備で運営できますが、古民家などで浴室やトイレがないならリノベーションしましょう。また、民泊の運営には自動火災報知機や誘導灯といった消防設備も必要です。
ゲストが就寝する部屋が50㎡を超える場合、消防設備が整っていないと、民泊運営ができません。自動火災報知器や誘導灯が必須なので、必ず用意してください。あわせて、Wi-Fiなどの通信環境も整えておくのがおすすめです。
3. 家具やアメニティを用意する
民泊を運営する際は、部屋のコンセプトに合った家具やアメニティをそろえましょう。ゲストが快適に過ごせるように、ベッドだけでなくテーブルやデスクなども用意します。
電気ケトルなどの家電やマグカップなどの小物もそろえておくと、ゲストにくつろいでもらいやすいです。カーテンやじゅうたんを設置する場合は、防炎物品を使用する必要があるので、確認してから購入しましょう。
すでにゲストが宿泊する部屋に家具がそろっている場合でも、清潔感が損なわれないか確認するのが重要です。例えば、ベッドにシミがあると不快な思いをさせてしまうため、マットレスやシーツは交換しておきましょう。
宿泊したゲストが快適に過ごせれば、リピートしてもらえる可能性が高まります。民泊を準備する際の費用を抑えることは重要ですが、ゲストが快適に過ごせるかも重視してください。家具やアメニティは高級である必要はないですが、統一感を重視して選定しましょう。
4. 開業許可申請あるいは届出を行う
民泊は以下の3種類に分類され、それぞれ適用される法律や開業方法が異なります。
種類 | 法律 | 開業方法 |
旅館業民泊 | 旅館業法 | 許可 |
特区民泊 | 国家戦略特別区域法 | 認定 |
新法民泊 | 住宅宿泊事業法 | 届出 |
開業に必要な資料も異なるので、民泊の種類に合わせて用意しましょう。現在居住している住宅を利用するなら、新法民泊の届出を行います。
民泊の3つの法律について詳しく知りたい方は、関連記事「【必見】一軒家民泊の許可を受ける方法を3つの法律別に解説【要件や申請書類を紹介】」をあわせてご確認ください。
5. ウェルカムガイド(案内冊子)を作成する
民泊の運営開始に先立ち、ウェルカムガイド(案内冊子)を作成します。一般的に、ウェルカムガイドには、以下の内容を記載します。
民泊は海外の方の利用率が高いため、ウェルカムガイドは以下の言語に対応させるのが重要です。
海外の方でも快適に過ごせるように、文化の違いを理解した上で作成しましょう。
6. 民泊サイトに登録する
物件の用意ができたら、民泊サイトに登録しましょう。Airbnb(エアビーアンドビー)やSTAY JAPAN(ステイジャパン)などの民泊サイトに、以下の物件情報を掲載します。
日本語だけでなく、以下の言語でも民泊情報を掲載してください。
翻訳ツールを使えば、他言語に対応した物件情報が作成できます。ただし、違和感のある文章になることがあるため、公開前にはネイティブチェックを入れるのがおすすめです。申請あるいは届出が完了したらすぐに営業できるように、早めに準備しておきましょう。
民泊サイトについて詳しく知りたい方は、関連記事「【2023年最新】民泊向けOTAの6サイトを手数料で比較!特徴や集客のポイントを解説」をあわせてご確認ください。
自宅を民泊にする際の5つの注意点
自宅を民泊にする際は、以下の5項目に注意しましょう。
注意点を押さえておかないと、リノベーションをしたのに運営が認められないケースがあります。重要な内容なので、ここでしっかり確認しておきましょう。
1. 民泊を運営できない地域がある
地域によっては、民泊の運営が禁止されているので注意が必要です。新法民泊なら、工業専用地域以外であれば運営可能です。そもそも、工業専用地域には住宅を建設できないため、すでに住居を構えているなら運営可能と判断できます。
旅行業民泊と特区民泊は、低層住居専用地域や中高層住居専用地域では運営できません。以下の地域では運営可能なので、旅行業民泊あるいは特区民泊の運営を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
第一種住居地域に該当する場合は、床面積が3,000㎡を超える場合は運営できません。しかし、一般的な住宅を民泊にするなら、床面積の基準を超えることはないでしょう。
2. 盗難のリスクがある
ゲストの中には、備品を持ち帰ってしまう人もいます。住宅を民泊にする場合、所有している貴重品が持ち出されるリスクがあるので要注意です。
大切な物品は金庫に入れるだけでなく、鍵のついた部屋に保管するなどして対策を講じましょう。また、現金は自宅に置かないようにするのがおすすめです。
また、民泊サイトには、ホストがゲストを宿泊させるか判断できる機能が備わっています。過去のレビューを見てから判断できるため、リスクの軽減が図れます。さらに、万が一のときのために民泊専用の保険に加入しておくと、安心して運営できます。
3. プライバシーが保てない可能性がある
自宅を民泊にすると、プライバシーが十分に保てない可能性があります。自宅で他人が寝泊まりしていることで、ストレスが溜まってしまうことも。
新法民泊を運営して浴室やトイレをゲストと共同で使うケースは、特に注意が必要です。浴室は1つしかない場合が多いので、使用できる時間を制限したり鍵を設置したりしましょう。
4. 近隣トラブルに発展するリスクがある
深夜の騒音により、近隣住民からクレームが入ることがあります。改善しないと、管理会社から退去を命じられたり、行政から指導や営業停止命令を受けたりするリスクがあります。
深夜の過ごし方は、ウェルカムガイドに記載したり、ゲストに説明したりして対策しましょう。以下のような対策を講じることで、騒音の改善が図れます。
他には、遮音性の高いカーテンやラグを使用するのも良いでしょう。
民泊のトラブルと対策について詳しく知りたい方は、関連記事「【これで解決】民泊のトラブル事例5選と3つの対策【相談先も3つ紹介】」をあわせてご確認ください。
5. 住宅ローンの一括返済が求められるリスクがある
無断で民泊運営をしていることが知られると、住宅ローンの一括返済を求められることがあります。住宅をローンを組んで購入した場合は、基本的に民泊はできないので注意が必要です。
ただし、不動産投資ローンに借り換えれば、民泊を運営できる可能性があります。住宅ローンほど低金利でないため、月々の出費が増えてしまいますが、民泊運営で利益が上がれば返済に困ることはないでしょう。
不動産投資ローンを組む際は、審査を受ける必要があります。金融機関によって金利が異なるので、事前にリサーチした上で相談するのがおすすめです。
また、転勤などやむを得ない理由がある場合は、引き続き住宅ローンを利用できる可能性があります。新法民泊であれば、代行業者に依頼すれば家主が不在でも運営可能です。住宅ローンを継続したいなら、民泊運営を検討し始めた段階で金融機関に相談しましょう。
ちなみに、賃貸併用物件なら問題なく民泊を運営できます。賃貸併用物件で民泊を運営する場合は、自宅として利用する部分の床面積が、建物の総面積の50%以上であることが必須条件です。
事前確認をしっかり行い自宅での民泊を始めましょう
自宅を民泊物件として利用すれば、低コストで参入できます。民泊事業は今後需要が高まる魅力的なビジネスなので、今から準備を進めるのがおすすめです。
ただし、賃貸物件の場合は転貸可能でないと、民泊運営ができません。転貸ができる場合でも、民泊運営について大家さんなどから許可をもらう必要があります。
また、所有物件でも住宅ローンを組んでいるなら、無断で民泊運営すると一括返済を求められるリスクがあるので要注意です。住宅ローンの条件は金融機関によって異なるため、事前に相談しましょう。
許可が下りれば、民泊運営によって継続的に収益が得られるようになります。運営代行業者に依頼すれば、不労所得モデルを構築することも可能なので、ぜひ前向きに検討してみてください。
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