【注意】マンション民泊は管理規約の確認が必要【必要手続きやトラブル対処方法を解説】

【注意】マンション民泊は管理規約の確認が必要【必要手続きやトラブル対処方法を解説】

「自己所有の部屋で民泊する場合でも、管理組合から許可は必要なのかな?」
「賃貸マンションを使った民泊に必要な手続きを知りたい」
「マンションでの民泊は他の住民からのクレームが不安」

マンションは一軒家に比べて、消防設備などがすでに整っていることが多いため民泊に向いた物件です。しかし、マンションでの民泊営業は管理規約で禁止されている場合があります。

マンションを使った民泊を検討している場合、管理規約や許認可の手続きの理解が必要です。そこで、この記事ではマンションの民泊について、以下の内容を解説します。

  • 民泊に関するマンションの管理規約のポイント
  • 賃貸マンションを使った民泊に必要な手続き
  • マンションを使った民泊で想定されるトラブル
  • マンションを使った民泊を始める流れ

マンションを活用した民泊を開業するための手続きや注意点が理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

目次

マンションで民泊を始める際は管理規約で禁止されていないことを確認する

マンションで民泊を始める際は管理規約で禁止されていないことを確認する

分譲マンションでの民泊を検討している方は、まず管理規約を確認してみてください。民泊営業が、管理規約で禁止されている場合があるためです。

管理規約とは、区分所有法に基づき管理組合が定めたマンション利用のルールです。マンションの部屋の所有者は「区分所有者」と言い、他の区分所有者に悪影響を与える使い方はできません。

民泊新法の施行後、多くのマンションでは管理規約を改正し、民泊営業の可否を記載しています。2018年にマンション管理センターが登録管理組合を対象に行った「民泊対応状況管理組合アンケート調査」によると、105組合のうち9割が管理規約で民泊を禁止しています。

民泊に関するマンション管理規約の3つのポイント

民泊に関するマンション管理規約のポイント

マンション管理規約による民泊営業の可否については、以下の3つのポイントを理解する必要があります。

  1. 民泊に関する条文はマンション標準管理規約に基づいている
  2. 管理規約に民泊の可否の定めがない場合は禁止ではない
  3. 管理規約の変更には4分の3以上の賛成が必要

一つひとつ見ていきましょう。

1. 民泊に関する条文はマンション標準管理規約に基づいている

管理規約は、国土交通省が公開している「マンション標準管理規約」に基づいて作られています。マンション標準管理規約では、民泊を許容するか否か明確にしておくことが望ましいとして、可能とする場合と禁止する場合の規定例を以下のとおり示しています。

可能とする場合の規定

「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。」

禁止する場合の規定

「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。」

規定例は民泊新法(住宅宿泊事業法)のみを対象とした記述であり、旅館業法や国家戦略特区法に対応するため「宿泊事業としての使用」などとしているケースもあります。

2. 管理規約に民泊の可否の定めがない場合は禁止ではない

マンションの管理規約に民泊営業の可否の記載がない場合は、禁止ではないと解釈されます。

マンション標準管理規約の第12条には「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」とあります。しかし、民泊は一般住宅を使った宿泊サービスであるため、住宅としての使用の範囲を越えていないと解釈可能です。

国土交通省が管理規約への記載が必要としているように、禁止する場合には明確に「宿泊事業としての使用を禁じる」などの明記が求められます。

3. 管理規約の変更には4分の3以上の賛成が必要

民泊が禁止されている場合、管理規約を変更して営業を認めてもらうことは困難です。管理規約の変更方法は、区分所有法の31条で以下のとおり定められています。

管理規約を変更するには、区分所有者数および議決権の各4分の3以上の多数によって集会で決議する必要がある

民泊の禁止が決議された管理組合において、4分の3以上の賛成を得て認めてもらうことは、現実的には難しいでしょう。

賃貸マンションでの民泊に必要な手続き

賃貸マンションでの民泊に必要な手続き

賃貸マンションで借りている部屋を使って民泊を行う場合には、まず賃貸借契約書を確認してみてください。賃貸借契約書で民泊が禁止されている場合、当然ですが営業できません。明確に民泊の禁止が記載されていない場合は、大家さんに確認してみましょう。

また、民泊新法や特区民泊では、賃貸借契約書での民泊営業の記載に関わらず、大家さん(賃貸人)が許可している証拠を許認可の申請手続き時に提出しなければなりません。

民泊新法では「賃貸人が承諾したことを証する書類の提出が必要」、特区民泊では「賃貸借契約の写し及び承諾書が必要」とされています。

マンションでの民泊で想定されるトラブル3選

マンションでの民泊で想定されるトラブル

マンションで民泊をする場合には、営業の許可を受けていたとしても、他の住民に迷惑をかける行為に注意が必要です。 民泊営業によって苦情が出てしまった場合、管理組合で営業禁止の決議がされるリスクがあるためです。こちらでは、マンションの民泊で想定されるトラブルを3つ解説します。

  1. 騒音
  2. ゴミ出しのルール違反
  3. セキュリティ面の不安

一つひとつ見ていきましょう。

1. 騒音

マンション民泊では、度々騒音が問題になります。具体的には、以下のような騒音が起こるリスクがあります。

  • 部屋で深夜まで宴会
  • 共用スペースでの長時間の会話
  • スーツケースの音

ゲストの中には、旅行で開放的な気分になっている方や日本の文化を知らない外国人の方も多くいます。ゲストに対しては「深夜のチェックインを禁止する」「夜9時以降は部屋の中で合っても静かに過ごしてもらう」などのルールを作り、周知徹底する必要があるでしょう。

2. ゴミ出しのルール違反

マンションのゴミ捨て場は、他の住民と共同で利用する場所です。「ゴミ出し時間を守らない」「ゴミ分別されていない」などのルール違反は、他の住民からのクレームにつながります。

ゴミ出しのルール違反のトラブルを避けるためには、ゲストにゴミ出しをさせないことが最も良い方法です。ゴミは部屋の中にまとめてもらい、清掃の時に処分すると良いでしょう。

3. セキュリティ面の不安

マンション住民の中には、不特定多数の人が出入りすることに対してセキュリティ面の不安を感じる方がいます。民泊のゲストであっても、住民から見れば素性のわからない人です。また「ゲストを装って不審者が紛れ込んでいるのでは」と考える方もいるでしょう。

セキュリティ面の不安に対しては、ゲストに対して民泊の部屋以外に立ち入らないように注意喚起することが大切です。また、住民に対しては苦情窓口の連絡先を周知するなどの方法が考えられます。

民泊のトラブルについて詳しく知りたい方は、関連記事「【これで解決】民泊のトラブル事例5選と3つの対策【相談先も3つ紹介】」をあわせてご確認ください。

マンションでの民泊を始める流れ6ステップ

マンションでの民泊を始める流れ6

マンションで民泊を始めるには、保健所に申請を行い許認可を受ける必要があります。こちらでは、マンションで民泊を始める流れを、以下の6つのステップで解説します。

  1. 管理組合または賃貸人の許可を得る
  2. 用途地域の確認
  3. 保健所・消防署への事前相談
  4. 設備工事・備品の準備
  5. 周辺住民への説明
  6. 申請書の提出

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 管理組合または賃貸人の許可を得る

マンションで民泊を始める際には、分譲マンションでは管理規約、賃貸マンションでは賃貸借契約書を確認しましょう。

民泊が禁止されているマンションでの営業は、許認可を受けられません。虚偽の報告で営業していることが発覚した場合には、100万円以下の罰金が科せられます。

管理規約や賃貸借契約書で民泊が禁止されている場合は、他の物件を探しましょう。

2. 用途地域の確認

民泊の許認可を受けるためには、以下の3つの法律のいずれかに基づいた設備や営業形態をとる必要があります。

  • 民泊新法(住宅宿泊事業法)
  • 旅館業法
  • 国家戦略特区法(特区民泊)

それぞれの法律では、営業できる用途地域が決まっています。用途地域とは、都市計画法で用途に応じて13地域に分けられたエリアのことです。

民泊営業をするマンションがどの用途地域に立地しているかを確認して、適切な法律に基づいた許認可を受けましょう。3つの法律のそれぞれの営業可能エリアは、以下の表を確認してみてください。

営業可能エリア 他の主な要件
民泊新法(住宅宿泊事業法) 低層住居専用地域、中高層住居専用地域など 営業日数上限180日、管理業者への委託(家主不在型の場合)
旅館業法 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域 客室床面積33㎡以上(定員10人未満の場合3.3㎡/人)
国家戦略特区法(特区民泊) 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に認定された地域 2泊3日以上の宿泊

用途地域は、自治体のホームページに掲載されている都市計画図から確認できます。また、自治体の都市計画課などでも調べてもらうことが可能です。国家戦略特区法に関しては、自治体の特区民泊のページを確認しましょう。

3. 保健所・消防署への事前相談

許認可を受ける法律が決まったら、保健所に事前相談に行きましょう。保健所では、民泊の許認可を受けるために必要な設備や提出書類について詳しく説明してもらえます。また消防設備については、管轄の消防署に確認を行います。

保健所と消防署に相談に行く際には、部屋の広さや間取りがわかる平面図が必要です。平面図は、分譲マンションの場合は売買契約書に添付されています。賃貸マンションの平面図は、不動産会社や大家さんから提供してもらうと良いでしょう。

4. 設備工事・備品の準備

保健所と消防署に必要な設備を確認したら、設備工事や備品の準備を行います。設備工事が完了したら、保健所と消防署の立入検査を受ける必要があります。

マンションの民泊では、必要な消防設備についてあらかじめ理解しておくと良いでしょう。マンションに必要な消防設備は、主に以下の4つです。

設備 内容
誘導灯 出入り口や通路に設置
火災報知設備 自動火災報知設備(既存のもので構わない)
スプリンクラー 11階以上にある部屋を利用する場合
その他 カーテン、じゅうたん等は防炎物品を使用、宿泊室に避難経路図を掲出

多くのマンションでは、標準で自動火災報知設備が設置されています。既に自動火災報知設備が設置されている場合は、追加の工事は不要です。

自動火災報知設備が付いていないマンションでは、40~50万円の設置費用がかかります。ただし3階建て以下の建物では、1個1.5万円程度の特定小規模施設用自動火災報知設備の設置で問題ありません。

また11階以上にある部屋では、スプリンクラーの設置が求められます。マンションに共同住宅用スプリンクラーが取り付けられている場合には、新設は不要です。

5. 周辺住民への説明

許認可の申請書を提出する前には、マンション内のすべての住民に民泊を開業することを説明しましょう。説明の方法は、苦情対応窓口の電話番号などを記載したチラシの配付で問題ありません。

民泊新法では、住民への説明は義務ではありませんが、望ましいとされています。一方、国家戦略特区法では義務付けられており、説明の際に使用した書類などの証拠の提出が求められます。

6. 申請書の提出

許認可申請に必要な準備が整ったら、保健所に申請書類を提出しましょう。民泊新法の許認可は「届出」であるため、書類が揃っていれば受理されます。一方で旅館業法は「許可」、国家戦略特区法は「認可」であるため、書類提出後に審査が行われ許認可の判断が行われます。

保健所と消防署の指導に沿って準備を行っていれば、許認可を受けられない事態は避けられるでしょう。

マンションでの民泊には管理規約を遵守した運用が求められる

マンションでの民泊には管理規約を遵守した運用が求められる

マンションは自身が購入した部屋であっても、管理規約や賃貸借契約で禁止されていれば営業が出来ません。他の住民との共同で利用する建物であることを自覚し、マンションのルールを遵守しましょう。

不動産の有効活用などを目的に、民泊営業可能な物件として貸し出されているマンションはあります。まだ物件が決まっていない場合は、民泊営業が可能なマンションを探しましょう。

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