「民泊を始めたいが、どの物件なら民泊運営が許可されるのか分からない」
「契約したあとに許可申請が通らないことがあるのか不安」
「民泊が許可される物件を探すには、どこに相談に行けば良いか知りたい」
民泊許可物件を探すために、まずは「民泊がどの法律で規制されているのか」を把握する必要があります。また、民泊許可物件を探す方法はたくさんあり、それぞれの得意分野を理解することで希望する物件に出会う確率を上げられます。
そこで、この記事では民泊許可物件の探し方について、以下の内容を解説します。
- 民泊許可物件に該当する条件
- 民泊許可物件の探し方
- 民泊許可物件を探すなら民泊運営代行がおすすめ
民泊運営を開始する際に遵守すべき法律や、効率よく物件を探す方法が理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
民泊許可物件に該当する2つの条件
そもそも「民泊許可物件」とはどんな物件を指すのか、ここでは2つの条件を紹介します。
- 法律の要件をクリアしている
- 物件のルールに抵触していない
この内容を理解しないまま物件探しに進むと、後々のトラブルにもなりかねませんので、しっかりと確認しましょう。
1. 法律の要件をクリアしている
「民泊」に明確な定義はありませんが、一般的に「住宅の全部または一部を活用して旅行者などに宿泊サービスを提供すること」を指します。民泊を運営する場合、以下のいずれかの方法をとる必要があります。
- 「旅館業法」の許可を得る
- 「国家戦略特区法」の認定を得る
- 「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の届出を行う
民泊を規制する法律は3つあり、どの法律に準拠した民泊を行うかによって必要な要件が異なる点を理解しましょう。国土交通省が運営する「民泊ポータルサイト」で、それぞれの制度の比較が行われています。
民泊許可物件を探す際、とくに注意したいのは「用途地域」の違いです。例えば民泊新法では、旅館業法では禁止されている「住居専用地域」での営業が可能になっています。
ただし実際のところは、各自治体が区域や期間などを細かく制限する「条例」を作っていることも多いです。そのため、物件の候補地(自治体)ごとに「条例」を確認しておきましょう。
参照元:国土交通省観光庁 民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例のとりまとめについて
2. 物件のルールに抵触していない
法的要件をクリアしても、物件の種類によって民泊を運営する条件がことなるため注意が必要です。ここでは、以下3つの物件ごとのルールを説明します。
- 戸建
- 分譲マンション
- 賃貸物件
一つひとつ見ていきましょう。
2-1. 戸建の場合
戸建はマンションなどのように「全体で守るべきルール」がないため、民泊を始めやすい物件と言えます。ただし「住宅ローンを既に組んでいる」「これから住宅ローンを組もうとしている」場合は、民泊として運営できるか事前に確認が必要です。
例えば民泊新法での民泊で「家主居住型」を選択する場合、自身が居住に使用している面積が建物の50%以上を占めていれば、住宅ローンが認められる場合があります。一方「家主不在型」を選択する場合は住宅ローンは認められず、使えるのは事業用ローンとなります。
また「旅館業法」での民泊は住宅ローンは使えないので、事業用ローンを組むことになる点をおさえておきましょう。
2-2. 分譲マンションの場合
分譲マンションの場合「管理規約」の確認が必要となります。管理規約とは「区分所有法」に基づいて管理組合が定めた、マンションを利用する際のルールです。管理規約で民泊の許容についてを確認し「禁止の旨」が記載されていると、民泊は運営できません。
一方で禁止の旨が記載されてない物件であれば、必要書類を用意することで民泊を運営できる可能性があります。例えば民泊新法では、以下のような「管理組合に禁止する意思がないことを証する書類」を用意すれば届出が可能です。
- 「住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書」
- 民泊新法成立以降(2017年6月以降)の「総会及び理事会の議事録等」
民泊可能物件の候補にマンションを入れている方は、管理規約の存在を忘れないようご注意ください。
マンション民泊について詳しく知りたい方は、関連記事「【注意】マンション民泊は管理規約の確認が必要【必要手続きやトラブル対処方法を解説】」をあわせてご確認ください。
2-3. 賃貸物件の場合
賃貸物件の場合「賃貸借契約」で、民泊が禁止されていないかを確認します。契約で民泊が許容されているケースであれば、以下2点の許可をもらうことで民泊運営が必要です。
- 転貸借の許可
- 民泊営業の許可
賃貸物件で民泊を運営する行為は「物件を借りている人が第三者に物件を貸す」という意味において、又貸し(転貸借)に該当します。転貸借の許可を得たうえで「民泊営業の許可」をもらう必要もあるので注意しましょう。
又貸し民泊について詳しく知りたい方は、関連記事「【注意】又貸しの物件で民泊営業が違法となる2つの理由!必要な手続きや契約のポイントを解説」をあわせてご確認ください。
民泊許可物件の探し方6選
ここでは民泊許可物件の探し方について、以下6つの具体的な方法とそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
- 民泊専用ポータルサイト
- 住宅宿泊事業者の届出一覧
- 民泊運営代行
- 不動産会社
- M&Aで事業承継
- 全国版空き家・空き地バンク
詳しく見ていきましょう。
1. 民泊専用ポータルサイト
民泊許可物件を紹介することに特化した「民泊専用ポータルサイト」を活用する方法です。転貸可能な物件が多く紹介されており、有名なサイトには以下のようなものがあります。
不動産会社が運営する一般的な「不動産ポータルサイト」と似たようなサービスで、さまざまな物件を一挙に比較検討できるのが特徴です。
メリット | デメリット |
数多くの民泊許可物件を効率よく調査できる | 敷金・礼金が高いなど条件の悪い物件も紹介されている 民泊営業の許認可や届出を保証しているわけではない |
2. 住宅宿泊事業者の届出一覧
各都道府県が発表している「住宅宿泊事業者の届出一覧」を活用する方法です。一覧は民泊の近隣にお住まいの方や宿泊者が、運営者の届出の有無を確認するために公表されているものです。具体的には以下の内容が掲載されています。
- 届出日
- 届出番号
- 届出住宅の所在地
例えば一覧の中で特定のマンション名を見かけたら、すでにその物件で民泊を行っている人がいることになり、管理規約や設備面で問題ないことが予想されます。ここでは例として、東京都が公開している「住宅宿泊事業者の届出情報の公表について」を紹介しておきます。
メリット | デメリット |
すでに民泊を営んでいる人がいる地域やマンションなどを一気に確認できる | 文字だけの羅列で見にくい 地図や外観は自分で逐一調べる必要がある |
3. 民泊運営代行
オーナーの民泊業務を受託してくれるサービス「民泊運営代行」に情報をもらう方法です。運営代行業者は予約管理や清掃作業など、さまざまな民泊の管理運営を行っています。そのため現役の民泊オーナーと繋がりがあり、民泊許可物件に精通していたり物件紹介を行っていたりします。
メリット | デメリット |
手軽に情報を得られる(メルマガなど) 民泊事業に携わっている会社のため信頼性がある | 運営代行が主な業務のため、必ずしも紹介を行っているとは限らない |
4. 不動産会社
不動産会社に紹介してもらう際は、以下の2点を事前に伝えておきましょう。
- 民泊を行いたいと考えていること
- 民泊に必要な設備要件があること
「民泊に必要な設備要件」とは民泊新法の届出を行う際に必要となり、以下の4つの設備が該当します。
- 台所
- 風呂
- 便所
- 洗面所
これらがないと「住宅」とは見なされず、民泊運営ができません。「風呂なし物件」などもあり得るので、必ず4つとも揃っていることを確認しましょう。また、地方の物件が欲しい場合は、大手よりも地域に根差した不動産会社を訪問した方が、ポータルサイトなど表に出ていない物件を紹介してもらえる可能性が高まります。
メリット | デメリット |
ポータルサイトなどに掲載していない情報を持っている 珍しい物件など、独自の情報網を持っている | 民泊に詳しくない不動産会社が多い |
5. M&Aで事業承継
事業承継サイトで「民泊事業の承継」に関する情報を得る方法です。M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、狭義には「企業の合併や買収」を意味します。民泊の場合は「事業承継」を指しており、主なM&Aサイトは以下のとおりです。
ほとんどのサイトで利用料や成約手数料がかかるので、事前に確認しておきましょう。また、法人からの継承と個人からの継承で、手続きに違いが出る場合があるのでご留意ください。例えば旅館業法の場合、個人から承継される際は一度現在の許可について廃業届を提出したうえで、再度申請を行う必要があります。
メリット | デメリット |
ホテル・旅館の案件は増加している 運営時のノウハウを引き継げる可能性がある | 企業向けなど事業規模が大きい案件も掲載されている 負債を引き継がなくてはならないこともある |
6. 全国版空き家・空き地バンク
各自治体が把握・提供している空き家などの情報について「自治体を横断して検索できるシステム」を活用する方法です。平成30年4月から株式会社LIFULLと、株式会社アットホームが本格運用を開始し、現在は「全国版空き家・空き地バンク」と呼ばれています。
たとえば地方で戸建て物件を購入し、リフォームをしたうえで民泊運営したい人などに向いています。
メリット | デメリット |
物件購入して民泊運営したい人は低価格で手に入る可能性がある 民泊運営を行いたい地域を全国各地から選べる | リフォームが必要な物件が多い 手直しの関係で民泊として稼働させるまでに時間がかかる |
一軒家民泊について詳しく知りたい方は、関連記事「【必見】一軒家民泊の許可を受ける方法を3つの法律別に解説【要件や申請書類を紹介】」を合わせてご確認ください。
民泊許可物件を探すなら民泊運営代行がおすすめ!3つの理由を紹介
民泊許可物件の探し方を紹介してきましたが、結局どれが一番良いのか決めきれない方もいるのではないでしょうか。そこで、ここでは「民泊運営代行がおすすめ」である理由を3つ紹介します。
- 物件の紹介から運営まで一貫したサポートを受けられる
- 民泊許可物件か判断するノウハウがある
- 収益化しやすい民泊許可物件の特徴を知っている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 物件の紹介から運営まで一貫したサポートを受けられる
運営代行は「民泊を運営しているオーナーに代わって、委託された民泊業務を行うサービス」です。つまり、運営代行から民泊許可物件の紹介を受ければ購入した後も、引き続き一貫して代行サービスが受けられます。
特に民泊新法の民泊を検討する場合、運営代行(住宅宿泊管理業者)への業務委託が必須となるケースがあります。物件確定後も結局は業者を探す必要があるのであれば、最初から運営代行から民泊許可物件の情報を得ることで、時間や手間の削減となるでしょう。
運営代行について詳しく知りたい方は、関連記事「民泊運営代行とは登録事業者が行うサービス!メリット・デメリット8選と比較ポイントも解説」もあわせてご確認ください。
2. 民泊許可物件か判断するノウハウがある
運営代行は、物件が法律上「民泊」として運営可能なのか、判断する知識と経験を持っています。たとえば、旅館業法と民泊新法の細かな違いを理解していたり、運営代行自身の届出・申請経験があったりと現場経験が豊富です。
また、基本的には旅館業法や民泊新法に準拠した物件探しを行う必要がありますが、運営代行は稀に「居抜き物件」の情報を持っています。たとえば、もともと運営代行を受託していた物件が民泊をやめる際、新たなオーナーを探すケースなどが考えられます。タイミングが合えば、このような物件の紹介を受けることも可能でしょう。
3. 収益化しやすい民泊許可物件の特徴を知っている
運営代行は、さまざまな現場を見ているため「儲かる民泊」についての情報も持っています。例えば「駅から近く好立地な物件」「地域のニッチな観光スポットの近く」など、民泊の集客に外せない条件を、現場レベルで理解しています。
これらは、活動エリアが限られた「地域密着型」の運営代行だからこそ提供できる情報です。
民泊許可物件に該当する条件を把握し6つの探し方を試しましょう
民泊許可物件を探す際は、法律や物件の要件を理解することが大切です。具体的な民泊許可物件の探し方は、民泊専用ポータルサイトの活用や、不動産会社への相談などがあります。
中でもとくにおすすめなのは「民泊運営代行業者」へ相談することです。「民泊運営代行業者」は、居抜き物件の情報を持っていたり、物件確定後も引き続き「運営代行サービス」を利用できるなどのメリットがあります。ご自身のニーズに合った物件を見つけるには時間がかかりますが、専門家の意見を参考にしながら地道に探していきましょう。
コメント