【徹底解説】民泊とゲストハウスの違い5選!共通点や向いている人の特徴を紹介

「これから始めるなら民泊とゲストハウスどちらが良いかな」

「そもそも違いが分かっていない」

「できる限りリスクが少ない方法で始めたい」

民泊とゲストハウスでは、運営スタイルや宿泊客のニーズなどに違いがあります。違いを明確に理解していないと「物件選びを間違えた」「イメージしていた運営ができない」といった状況になりかねません。そこでこの記事では、以下の内容を初心者にもわかりやすく解説します。

動き出してからの「こんなはずじゃなかった!」が未然に防げる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

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目次

民泊とゲストハウスの概要を30秒でサクッと解説

混同されがちな民泊とゲストハウスですが、実は法律上は明確な違いがあります。まず、ゲストハウスは「旅館業」に分類されます。日本で旅館業を営むためには、旅館業法に基づく営業許可を取得しなければいけません。正式な許可を得るためにはクリアすべき項目があり、参入にあたって高いハードルとなっています。

一方で、民泊は旅館業としてだけでなく「住宅宿泊事業」としての開業が可能です。住宅宿泊事業は、手続き面や資金面で旅館業よりも参入障壁が低いのが特徴です。外国人観光客の利用が期待される昨今、比較的手軽に始められる民泊の開業へ動き出す方が増えています。

民泊とゲストハウスの違い5選

民泊とゲストハウスには、法律上の分類以外にもさまざまな違いがあります。ここでは5つのポイントで、両者の違いをわかりやすく解説します。

民泊ゲストハウス
許認可住宅宿泊事業の届出簡易宿所営業許可
年間の営業日数180日以下制限なし
初期費用50万円~100万円程度1,000万円程度
運営スタイル・一般的な住宅を用いる・一室(または一軒)につき1組の利用・「家主同居型」と「家主不在型」の2種類がある・設備基準を満たした物件を用いる・共用スペースが多い・サービスは必要最低限の場合が多い
宿泊客のニーズ・その土地ならではの暮らしを体験したい・民泊運営者との交流を楽しみたい・家族や仲間で貸し切って気兼ねなく過ごしたい・利用者同士やスタッフとの交流を楽しみたい・宿泊費用を抑えたい・長期滞在したい

なお、本記事の民泊は「旅館業」「住宅宿泊事業」「特区民泊」のうち、住宅宿泊事業を指します。それでは、各項目をさらに詳しく解説していきます。

1. 許認可

ゲストハウスを開業するには「簡易宿所営業許可」が必要です。ゲストハウスは法律上、旅館業の中の「簡易宿所(かんいしゅくしょ)」に分類されます。日本で旅館業を営むためには、行政機関から業態に応じた許認可を得ることが、法律で義務づけられています。

「民泊も旅館業じゃないの?」と思うかもしれません。たしかに、2018年6月以前に民泊を開業するためには、簡易宿所営業許可または民泊特区による認定が必要でした。現在も、簡易宿所営業許可を得た上で運営している民泊は多数存在します。

しかし、いずれの認定も一般の方には取得のハードルが高く、無許可で営業を行う違法民泊が急増しました。その対応措置として、旅館業よりも満たすべき基準が緩和された「民泊新法(正式名称:住宅宿泊事業法)」が誕生した背景があります。

民泊新法の施行によって、簡易宿所営業許可に手が届かない方でも宿泊事業が行えるようになったのです。さらに住宅宿泊事業はオンラインでの届出が可能という点も、手軽に始めやすい理由の1つと言えます。

2. 年間の営業日数

ゲストハウスには法律上、年間の営業日数に制限がありません。一方で、民泊には「年間180日を超えて人を宿泊させてはいけない」というルールがあります。つまり、民泊は1年間のうち、約半分しか稼働できません。

自治体によっては法律に上乗せする形で、さらに営業日数を制限しています。営業日数の上限なく運営したい場合は、簡易宿所営業許可を取得するか、ごく限られた地域でのみ民泊運営が許可される「特区民泊」の認定を受ける必要があります。

3. 初期費用

民泊と比べると、ゲストハウスのほうが物件の取得やリフォームなどにかかる費用が大きくなる傾向があります。なぜなら、空き部屋でも始められる民泊とは異なり、ゲストハウスには以下のような設備が必須だからです。

初期費用として必要なおおよその金額と項目は、それぞれ以下のとおりです。

初期費用項目
民泊50万円~100万円程度・物件の取得費用・リフォーム代・設備・備品費
ゲストハウス1,000万円程度・物件の取得費用・リフォーム代・設備・備品費・登録関連費用(許可申請費用、行政書士費用)

上記はいずれも最低限の価格です。物件の立地や規模、内外装へのこだわりによっては、さらに費用がかかるでしょう。ゲストハウスの規模が大きい場合や改築が必要な中古物件の場合は、取得費用やリフォーム代だけで1,000万円以上かかるケースも少なくありません。

4. 運営スタイル

民泊とゲストハウスの運営スタイルの違いを理解しておきましょう。民泊の運営スタイルの特徴は次のとおりです。

民泊は、自宅に利用者を泊めるような感覚です。一方で、ゲストハウスの運営スタイルの特徴は次のとおりです。

ゲストハウスは基本的に相部屋で、リビングや水回りも共用のことが多いです。1泊1組が多い民泊とは異なり、1日で複数組の宿泊客が利用できます。

なお、近年ではカフェやコワーキングスペースを併設したり、非日常の空間を演出したりと付加価値をつけた新しい運営スタイルのゲストハウスが増えてきています。

5. 宿泊客のニーズ

民泊とゲストハウスでは、宿泊客のニーズが違います。民泊を利用する方のニーズは次のとおりです。

民泊の魅力は、その土地ならではの生活体験ができる点です。特に家主同居型は、現地の人との交流に価値を感じている方から需要があります。また、家族や仲間内で貸し切りたい方には、家主不在型が人気です。

一方で、ゲストハウスを利用する方のニーズは次のとおりです。

ゲストハウスは素泊まりが基本で、アメニティ類も少ないです。「サービスは必要最低限でいいから、旅館やホテルより安く泊まりたい」という方から需要があります。また、ゲストハウスにはさまざまな人が行き交うため、宿泊者同士の交流を求めている方が多いです。

宿泊料は低価格のケースが多いですが、個室やサービスが手厚いゲストハウスの場合は、内容に比例して料金が高くなります。

民泊と旅館業の違いについて詳しく知りたい方は、関連記事「【徹底比較】民泊新法(住宅宿泊事業法)と旅館業法の違い7選!おすすめな人の特徴を紹介」をあわせてご確認ください。

民泊とゲストハウスの共通点4選

民泊とゲストハウスには、違いがある一方で共通する点もあります。たとえば、以下のような点です。

ここでは、それぞれの内容を詳しくみてみましょう。

1. 特別な資格は不要

民泊やゲストハウスを開業するにあたって、特別な資格は不要です。手続きを行って許可が下りれば、誰でも開業できます。

ただし料理を提供する場合は、スタッフの1名以上が「食品衛生責任者」の資格を持っている必要があるので注意しましょう。「難しそう」と感じるかもしれませんが、食品衛生責任者は講習を受ければ1日で取得できる資格です。受験費用は都道府県によって異なりますが、10,000円程度かかります。

また、カフェやバーなどの飲食店を併設する場合、規模によっては「防火管理者」の資格が必要です。資格以外にも「飲食営業許可申請」や「菓子製造業許可申請」といった営業許可が必要になります。

民泊に関わる資格について詳しく知りたい方は、関連記事「【結論】民泊を運営するのに資格は原則不要!必要になるケースも紹介」をあわせてご確認ください。

2. 準備から運営までを業者に委託できる

民泊にもゲストハウスにも、開業・運営を委託できる代行業者が存在します。代行業者には、以下のような種類があります。

委託できる業務の範囲は、代行業者によってさまざまです。予算に合わせて柔軟に活用することで、負担を軽減できるでしょう。コストはかかりますが、準備から運営までを丸ごと委託すれば、ご自身が働いていない時間にも収益が生まれる仕組みを作れます。

代行業者の委託について詳しく知りたい方は、関連記事「【必見】住宅宿泊管理業者へ委託できる5つの業務!費用相場や委託方法について解説」をあわせてご確認ください。

3. 設備や備品の破損・盗難リスクがある

民泊にもゲストハウスにも、設備の破損や備品の盗難リスクがあります。修理や補充で出費が重なると、経営に悪影響を与えるでしょう。リスクを未然に防ぐためには、以下のような対策がおすすめです。

ハウスマニュアルは、施設内の設備・備品の使い方を記載した取扱説明書です。わからないことはハウスマニュアルを見れば解決できるようにしておくことで、頻繁な問い合わせや「使い方がわからず壊してしまった」といったリスクを軽減できます。

また、盗難トラブルは利用者間でも起こりえます。特に貴重品の管理が難しいゲストハウスの場合は、金庫や鍵付きのロッカーを設置するのが効果的です。

4. 近隣住民や利用者間でトラブルになる可能性がある

民泊とゲストハウスでは、いずれも近隣住民への配慮が必要です。なかには、不特定多数の人の出入りがあることを不安に思う方がいます。苦情が増えると、最悪の場合、運営を続けられなくなるかもしれません。

また、複数組が同時に宿泊するケースでは、利用者間のトラブルも起こりえます。こうしたトラブルを避けるためには、施設を利用するにあたっての約束事をまとめた「ハウスルール」を作成・周知しましょう。たとえば「大声で騒がない」「楽器を使用しない」など、お互いが気持ちよく過ごすためのルール決めが大切です。

民泊のトラブルについて詳しく知りたい方は、関連記事「【これで解決】民泊のトラブル事例5選と3つの対策【相談先も3つ紹介】」をあわせてご確認ください。

民泊運営が向いている人の特徴【低リスクで始めたい】

低リスクで始めたい方は、ゲストハウスより民泊が向いています。2018年に施行された「住宅宿泊事業法」によって、一般人にはハードルの高い旅館業法の外で営業できるようになりました。旅館業は申請に対して行政機関から「許可」を得なければ開業できませんが、住宅宿泊事業に基づいた民泊なら、必要な要件を満たした上で届出を行えば開業できます。

民泊の初期費用は、ゲストハウスの10分の1程度です。自宅の空き部屋やマンションの一室からスタートできるので、事業の失敗に伴う金銭的なリスクを抑えたい方に向いています。

ゲストハウス運営が向いている人の特徴【日数制限なく運営したい】

1年中宿泊客を受け入れたい方は、日数の上限なく営業できるゲストハウス運営が向いています。予約が入れば毎日でも受け入れ可能なため、収益につながりやすいでしょう。ただし、ゲストハウス開業には高額な費用がかかるため、資金力が重要なポイントです。

選択肢の1つとして、簡易宿所営業許可を取得することで、日数制限をなくした上で民泊を始める方法があります。本格的なゲストハウスに比べて物件の規模が小さく済むため、物件取得費や設備・備品費などを抑えて開業が可能です。

民泊とゲストハウスはこんなに違う!理想の運営スタイルに合わせて選択しよう

一言であらわすと、民泊は「住宅宿泊事業」で、ゲストハウスは「簡易宿所営業」です。簡易宿所営業は旅館業の1つにあたるため、一般人には開業のハードルが高いです。さらに、1,000万円以上の初期費用がかかることも障壁になるでしょう。

一方で、住宅宿泊事業を始めるための初期費用は50万円~100万円程度に抑えられます。届出にあたってクリアすべき条件も旅館業ほど厳しくなく、初心者でも参入しやすいです。180日以内の運営制限がネックだと感じるなら、簡易宿所営業の許可を得て民泊を行うことも可能です。できる限りリスクを抑えたい方は、民泊から始めてみてはいかがでしょうか。

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