「田舎の空き家を活用して民泊を始めたいがどれくらい儲かるのか気になる」
「田舎の民泊で週末だけを使って年150万円以上稼ぐ方法が知りたい」
「田舎で行う民泊ならではの注意点はどんなものがある?」
故郷の田舎に空き家を持っている方は、その使い道として「民泊営業」を少しでも検討したことがあるのではないでしょうか。しかし、目立った観光地ではなく人口も少ない田舎で、本当にビジネスが成立するのか気になる方は多いでしょう。
結論から申し上げると、田舎の民泊はやり方をきちんと押さえれば儲かります。しかし、計画もなく闇雲に民泊を始めても、顧客には選ばれません。そこで本記事では、以下の内容について解説します。
- 田舎の民泊が儲かる理由・ポイント
- 田舎の民泊が失敗する原因
- 田舎で民泊をする際の注意点
これから田舎で民泊を始めて収益をあげたい方に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
田舎での儲かる民泊運営は可能
結論として、田舎の民泊で儲けることはできます。しかし「民泊が流行っているから」「近所でやっている人がいるから」などの理由でしっかりと準備せずに運営を開始しても、稼げるほどの利用者は来ません。宿のコンセプトをきちんと決め、宿泊者からの評価を少しずつ積み上げていけば、週末だけの営業で年間150万円を超える収益も十分に実現可能です。
ここで簡単に、大まかな収益シミュレーションを行ってみましょう。民泊の運営形態はさまざまありますが、例えば田舎でよくみられる「戸建ての一棟貸し」の場合、一棟あたり1泊3万円で貸し出すことも可能です。
その場合、土曜から日曜にかけての週末のみの利用で、月12万円(3万×4週)の売上になります。年単位で換算すると約150万円です。さらにゴールデンウイークや夏休みなど、大型連休中の繁忙期の売上を含めると、それ以上となります。
また、田舎ならではの体験オプションを作ることで、宿泊以外の部分でも収益化が可能です。都会と異なる観光資源を活かしながら、田舎の特色を出した体験メニューを充実させることで売上はさらに増加します。
戸建ての民泊について詳しく知りたい方は、関連記事「【必見】一軒家民泊の許可を受ける方法を3つの法律別に解説【要件や申請書類を紹介】」を合わせてご確認ください。
田舎の民泊が儲かる3つの理由
ここでは田舎の民泊が儲かる具体的な理由を、以下の3点で紹介します。
- 不動産価格が安い
- 競合が少ない
- 田舎までインバウンドが波及している
それぞれ見ていきましょう。
1. 不動産価格が安い
田舎は「賃貸住宅の家賃」「不動産の購入価格」ともに安いです。物件にかかる費用が少ないほど儲けが出やすいので、その点に関しては都会よりも有利です。たとえば「1LDKマンションの家賃価格」を検索したところ、渋谷区で約23万円、静岡市で約7万円と大きな開きが出ました。(2023年3月現在)
また田舎では空き家が増加しており、低価格の物件も多く流通しています。例えば関東にある太平洋が一望できる別荘地でも、たびたび1LDKの戸建が100万円以下で販売されています。
自治体も「空き家バンク」の運用により売りたい人と買いたい人のマッチングに積極的です。中には「空家活用支援補助金」など、空き家を活用することに対して補助金を出す自治体も多数あります。例えば笠間市では、空家・空地バンク登録物件の修繕にかかる費用について、50万円を限度に2分の1を補助しています。また、登録物件の取得にかかる経費についても、取得対価の3%以内(上限30万円)の補助があります。
参照元:笠間市 空家活用支援補助金
2. 競合が少ない
田舎では一部の観光地を除き、需要に対して民泊事業者が少なくブルーオーシャンの状態です。例えば、令和6年1月時点での「東京23区」の民泊新法における届出住宅数は7,769件であるのに対し「山形県」では0~30件「秋田県・福井県・鳥取県・佐賀県」では31~50件でした。
このように、田舎では届け出数自体が少ないため、競合がほとんどいません。競合が少ないと観光客がネット検索で情報を得る際、人目に触れる機会が多くなります。具体的には、民泊仲介サイトの上位表示やグーグルマップ表示の面で有利です。
また、ホームページの作成やSNSの活用などを積極的に行っている事業者が少ないため、ネット活用に力を入れればより差が付けられます。ネットを使った広報を行う際は、都市部の人にもウケが良いスタイリッシュさも重要な要素です。
参照元:国土交通省 住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況一覧 令和6年1月15日時点
3. 田舎までインバウンドが波及している
外国人観光客の旅先・訪問先として、地方の自治体が選ばれるようになっています。例えば2023年に行われた「NHKクローズアップ現代の独自調査」によると、訪日外国人の数が過去最高を記録した2019年と比較して、伸び率が急増しているトップ10はすべて地方の自治体でした。
参考までに、トップ5の自治体を以下に記載します。
- 北海道当別町
- 山形県高畠町
- 茨城県北茨城市
- 秋田県能代市
- 新潟県見附市
コロナ後は外国人の滞在日数が長期化している関係で、行き先が田舎へ波及しています。月間800万~1000万PVを記録する訪日観光情報サイト「ジャパンガイド」編集長のフランク・ウォルター氏は、外国人観光客を惹きつける理由として、以下5つのキーワードを挙げています。
- Oriental(寺社仏閣・古民家)
- Delicious(居酒屋・屋台)
- Nature(自然・里山)
- Real(日常の暮らし・地元の人)
- Cool(アニメ)
これらのキーワードに表れているように、外国人にとって田舎は魅力的な環境です。
儲かる民泊経営について詳しく知りたい方は、関連記事「【必見】儲かる民泊経営のポイント7選!注意点や初期投資費用を解説」を合わせてご確認ください。
田舎の民泊が失敗する3つの原因
田舎でも準備をしっかりと行えば、儲かる民泊運営は可能です。しかし、ここで紹介する以下の点に注意しないと失敗の原因になります。
- 宿泊単価を安くしすぎる
- 初期費用と高い光熱費
- 季節ごとの利益変動
失敗の原因をあらかじめ把握し、運営に役立ててみてください。
1. 宿泊単価を安くしすぎる
民泊新法では、1年間のうちに人を宿泊させられるのは180日までと決まっています。駅前の低価格ホテルなどと同様の値段をつけて営業していると、180日ルールの影響で売上に限界がきて失敗につながります。
そのため年間の収支計画を立てる際は、常に「180日×宿泊単価」を考慮することが必要です。また、経費に注意するなど一泊あたりの売上を最大化する工夫が求められます。
民泊新法の180日ルールについて詳しく知りたい方は、関連記事「【解決】民泊新法180日ルールのポイント3選!利益を上げる方法を解説」を合わせてご確認ください。
2. 初期費用と高い光熱費
田舎で民泊を行う際は、とくに「初期費用」と「高い光熱費」が負担となります。初期費用については、空き家を使う場合は物件取得費はかかりません。また新たに購入する場合も、都市部と比べて不動産価格は安いですが、修繕などに費用をかけすぎて失敗するケースがあります。
一方で光熱費についてですが、田舎はガス代が高いです。田舎はガス管の整備が進んでおらず、各家庭にプロパンガスを設置するスタイルが一般的です。プロパンガスは個人宅まで配送するコストがかかり、そのための人件費やガソリン代が小売価格に反映されています。そのため、都市ガスの2倍近い値段になります。
また、地域によっては水道代も高いです。特に下水道が整備されていない地域は、浄化槽を設置・管理する費用が水道代金に上乗せされるため割高です。さらに雪深く寒い地域であれば、暖房代もかさむでしょう。
3. 季節ごとの利益変動
田舎の民泊は時期や季節によって、ハイシーズン・ローシーズンの差が激しいです。田舎は都市部からのアクセスに時間がかかり、大型連休を使って訪問する宿泊者が多いためです。
地域の特徴ごとのハイシーズンの目安には、以下にようなものがあります。
- 有名な寺社仏閣がある:年末年始
- 桜・ネモフィラなど花の名所がある:春休みとゴールデンウイーク
- 海水浴場や滝・渓谷などの避暑地がある:夏休み
- 紅葉名所やサイクリングなどアウトドアスポットがある:シルバーウイーク
これらの繁忙期と閑散期の利益変動を意識せずにいると「年間を通して期待したほど儲からなかった」といった失敗の原因となります。
民泊新法のポイントについて詳しく知りたい方は、関連記事「【これで解決】民泊運営の問題点5選!新法のポイントや向いてる物件の特徴を解説」を合わせてご確認ください。
田舎の民泊で儲ける4つのポイント
ここでは、田舎で儲かる民泊運営をする方法を以下4点紹介します。
- 競合リサーチをする
- ターゲットを絞り込む
- コンセプトを活かした空間作り
- オプション体験の充実
それぞれ見ていきましょう。
1. 競合リサーチをする
まずは、物件の周辺に同じような民泊がないかを調べます。例えば、以下の点に着目してみましょう。
- 古民家か西洋風の一軒家か
- 宿泊可能人数
- 宿泊費
- 間取り
- リノベーションの程度
- BBQや料理ができるかなどの設備情報
- 記載されているレビュー内容
似たような施設がすでにある場合、利用者が少ない田舎において後発は不利になる可能性があります。競合のリサーチは民泊仲介サイトや、グーグルマップなどを活用すると良いでしょう。
また、最新施設の情報にも常にアンテナを張っておいてください。地域情報誌や新聞の地域欄、ネットニュースなども参考になります。
2. ターゲットを絞り込む
競合と顧客の取り合いにならないターゲット層を設定します。ターゲットを決めないと、細かな宿のコンセプトや空間作りへと進めません。例えば、以下のような大きなカテゴリーから定めてみてください。
- 学生向け
- 家族向け
- カップル向け
- ペット連れ向け
- 外国人向け
- アウトドア客向け
これらの基本が定まったら「大人数利用の大学生」「小学生の子どもがいる家族」など、より具体的なターゲットを絞り込んでいきます。都市部と比較して利用者が少ない分「定めたターゲットには必ず来てもらう」くらいの意気込みで取り組みましょう。
3. コンセプトを活かした空間作り
人気宿に見られる特徴として、明確なコンセプトがあります。コンセプトがはっきりしていると、備品・小物のセレクトなど細かな空間演出に反映させられて、宿泊者の満足度が上がります。
またコンセプトの内容は「ゆっくり過ごせる」など大きなテーマを設定することが一般的ですが、より具体的な「体験要素」を組み込むのも効果的です。例えばNIPPONIA小菅では「滞在型エシカルウエディング」をコンセプトに掲げており、旅と結婚式を合わせた奇抜な宿泊スタイルが人気を集めています。
そのほか国土交通省では、香川県高松市の宿が事例として紹介されています。こちらの宿はヤシの木販売会社の敷地内にあり、宿泊者が南国気分を味わえる空間演出に力を入れているそうです。
参照元:NIPPONIA 小菅 源流の村「ETHICAL WEDDING in KOSUGE VILLAGE」
参照元:国土交通省観光庁「民泊の特性を活かした事例集」2022年3月
4. オプション体験の充実
田舎の民泊で成功するには、都市部にはない「特別な体験機会の提供」も重要です。立地が多少悪くても、口コミやSNSで魅力が広まり予約数の増加へ繋がることが期待できます。
オプション体験の具体例として、国交省が調査・発表している事例を2つ紹介します。
地域 | テーマ | 詳細 |
三重県津市 | ヘルスツーリズムのスペシャリストであるオーナーが森林を案内 | 宿のある町が東海圏初の森林セラピー基地に認定されており、美しい森林の中での散策やマインドフルネス、ノルディックウォーキング、ガイドツアーなどが可能 |
岐阜県本巣市 | 百姓の日々の生活体験が可能な日本家屋宿 | 四季を通じて昔ながらの日本の暮らしや、理想的な田舎暮らし体験が可能(農業体験、木工体験、漆喰塗り、石窯でピザ作り、流しそうめん、川魚の掴み取りなども楽しめる) |
田舎の観光資源や自分の得意分野を活かして、オリジナルのプランを取り入れることで、宿泊料以外の売上も期待できます。
参照元:国土交通省観光庁「民泊の特性を活かした事例集」2022年3月
田舎で民泊をする際の3つの注意点
ここでは、田舎で民泊運営を行うにあたって注意したいポイントを3つ解説します。
- 各自治体の条例を確認する
- 清掃についての負担を理解しておく
- 田舎特有の生活事情を周知しておく
それぞれ見ていきましょう。
1. 各自治体の条例を確認する
民泊新法による民泊を運営する場合は、事前に「自治体の条例」を確認しましょう。民泊新法で規制されている内容に加えて、自治体が独自ルールを制定していることがあります。
例えば岩手県や山形県をはじめ多数の自治体では、学校など教育施設の敷地の周囲「100メートル以内」では民泊営業を制限しています。群馬県では「110メートル以内」と微妙な違いもあるため、必ず地域ごとに確認するのが重要です。
そのほか、以下に挙げた一定の区域では、週末や夏季・冬季期間の営業を制限している条例も見られます。
- 国立公園
- 国定公園
- 県立自然公園
- 国民保養温泉地など
特に田舎で民泊を行う場合には、立地的にこれらに該当しやすいため注意してください。条例については、国土交通省が「令和3年時点における各地方公共団体の条例内容」を取りまとめて公表していますが、最新情報は直接自治体の窓口で尋ねる方が確実です。
2. 清掃についての負担を理解しておく
田舎では民泊清掃代行業者が少ないため、清掃にかかる時間を確保する必要があります。地域によってはまったく見つからないこともあるため、都市部であれば清掃業務を外注するかしないかを選べますが、田舎ではご自身で清掃を行うケースが多いです。
住まいと民泊を運営する物件が離れていると、清掃にプラスして移動の時間もかかります。寝具やタオルなどを洗濯する場合は、コインランドリーへの行き来も必要になるでしょう。
民泊仲介サイトのAirbnbでは、ゆとりを持って準備・片付けなどに取り組めるよう、宿泊の前後日程の予約をブロックできる機能があります。
3. 田舎特有の生活事情を周知しておく
田舎で民泊をする際は、宿泊者に地方にしかない特有の生活事情を周知するようにしましょう。宿泊者の中には、田舎のライフスタイルに慣れていない方も多数います。トラブル防止のため「当然わかるだろう」と思わずに、随時注意点を説明する必要があります。
例えば以下の事情は、特に周知が必要なポイントです。
- 飲食店(店舗数が少なく閉店が早いなど)
- 交通(簡単にタクシーはつかまらないなど)
- 野生動物(夜間の外出は野生動物に遭遇するリスクがあるなど)
- 害虫(駆除方法と万が一刺されたときの対処法など)
田舎の良さを満喫してもらうと同時に、都会にはない田舎特有の生活事情を伝えて安全・快適に過ごしてもらえるよう努めましょう。
民泊の始め方について詳しく知りたい方は、関連記事「【完全版】民泊の始め方7ステップ!メリット7選・デメリット5選を解説」を合わせてご確認ください。
田舎で儲かる民泊運営を行うにはターゲットやコンセプトを明確にしましょう
田舎で儲かる民泊運営を行うことは可能です。例えば田舎の民泊によく見られる「戸建て一棟貸し」の場合、一泊あたり3万円で貸し出せます。週末のみ(月4日)の稼働でも月12万円になり、田舎ならではの体験や繁忙期の売上を組み込めばそれ以上になります。
田舎の民泊が儲かる理由は「不動産価格が安い」「競合が少ない」「地方へインバウンドが波及している」などが挙げられます。一方で「宿泊単価を安くしすぎる」「初期費用と光熱費が高い」「季節ごとのオンオフが激しく利益変動がある」などが失敗につながる原因です。
田舎で儲かる民泊を運営するには、競合リサーチを行い、ターゲットやコンセプトを明確にしましょう。始める際の注意点として「各自治体の条例を確認する」「清掃についての負担を理解しておく」「田舎特有の生活事情を周知しておく」などがあります。田舎の民泊は、失敗につながる原因や注意点を適切に把握すれば、十分な売上が見込める事業です。
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