【回避策あり】民泊経営で失敗する人の4つの特徴【事例も3つ紹介】

「民泊を始めてみたいが初期費用をかけたうえに赤字になるのが怖い」
「民泊経営は儲からないって聞いたけど本当?」
「実際にあった民泊経営での失敗事例を知りたい」

ここ数年で市場が急速に伸びている民泊ビジネスに興味を持ち、新規参入を検討する人が増えています。円安の影響で訪日外国人数の増加を期待できる昨今、民泊事業で失敗する経営者たちはなぜ対処できなかったのでしょうか。本記事では、民泊経営を始めたいと思っている方に向け、以下の内容を解説していきます。

  • 民泊経営が失敗しやすいと言われる理由
  • 民泊経営で失敗する人に共通する特徴
  • 民泊経営でよくある失敗事例
  • 民泊経営で失敗を回避するポイント

民泊経営で失敗してしまう人たちは「何が良くなかった」のか、具体的な注意点や回避策も挙げていますので、民泊初心者はぜひ参考にしてみてください。

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目次

民泊経営が失敗しやすいと言われる5つの理由

前提として民泊経営は不動産投資より、ホテルや旅館と同じ「宿泊事業」に近いです。そのことを明確にしたうえで、民泊経営が失敗しやすいと言われる以下5つの理由を解説します。

  1. 住宅宿泊事業法(民泊新法)による180日規制
  2. 取得・運用ともにまとまった資金が必要
  3. 投資コストの回収までに時間がかかる
  4. 観光需要の影響を受けやすい
  5. ホテルや旅館など競合が多い

さまざまな局面からの問題点がありますので、1つずつ見ていきましょう。

1. 住宅宿泊事業法(民泊新法)による180日規制

日本での民泊事業は2010年代前半から少しずつ普及し始めましたが、2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、規制の対象になりました。これまで特化した法規制がなかった民泊経営ですが、民泊新法の制定によって「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」の3つを位置付けています。

民泊事業者が急速に増加する反面、安全面や衛生面の確保がなされていないことや、騒音・ゴミ出しによる近隣トラブルなどが問題となっていました。そのため、健全な民泊サービスを保つ目的で一定のルールが課されています。

民泊新法の中でも特に事業者へ大きな影響を与えたのが、年間営業日が180日以内に定められた点です。1年のうち約半分しか営業稼動できず、各自治体の条例次第では、さらに営業時間や期間が短縮されるエリアも見られます。

例えば、東京都港区では「1月11日正午から3月20日正午」「4月11日正午から7月10日正午」「9月1日正午から12月20日正午」というように、学校の長期休暇期間を外すよう細かな日時設定をしているようです。民泊をより安全性の高い事業にするために制定された民泊新法ですが、違反者は罰金や懲役の対象となったことで、以前より経営の難易度が上がったと言われています。

2. 取得・運用ともにまとまった資金が必要

民泊を始めるために不動産を賃貸するケースは多いですが、運営の自由さを求めると購入が望ましいです。マンションの一室で行っている方もいますが、管理規約や細則で禁止されているケースが多く、民泊を始めるハードルは高くなります。

物件調達以外にも、初期投資には以下の費用が発生します。

  • リノベーション
  • 消防設備
  • 家具家電
  • 備品・消耗品ストック
  • 開業申請費

数百~数千万円の開業資金に加え、すぐに事業が軌道に乗らないことも考慮し、まとまった手元資金の準備も必要です。開業後も消耗品や清掃費、光熱費・サイト掲載料などのランニングコストがかかります。

民泊開業に必要な費用について詳しく知りたい方は、関連記事「【保存版】民泊運営にかかる9つの費用!始め方を5ステップで解説」を合わせてご覧ください。

3. 投資コストの回収までに時間がかかる

民泊には初期費用としてまとまった資金を要するので、儲けが出ても投資コストの回収までに時間がかかります。ここでは以下の条件で、シミュレーションを行ってみましょう。

  • 物件取得費:500万円
  • 開業費:合計500万円(開業申請費、リフォーム、設備、雑費など一式)
  • 1泊あたりの利益:8,000円

年間営業日は180日の60%稼動として想定した場合、年間利益は86.4万円(8,000円×180日×60%)となり、1,000万円を回収するまでに11年以上かかることになります。回収期間を短くするために、自治体の「空き家バンク」を利用するなどして、初期コストを抑えるよう工夫しましょう。

4. 観光需要の影響を受けやすい

民泊は主なターゲットを海外からの旅行者とするため、景気や社会情勢による観光需要の影響を受けやすい点も挙げられます。現に、新型コロナウイルスの流行期にはインバウンドが激減し、廃業に追い込まれている民泊事業者も多く見られました。

2024年現在は円安の影響でインバウンド需要が戻り、観光業の景気回復が話題になっていますが、今後も市況が変化していく可能性は高いです。

5. ホテルや旅館など競合が多い

民泊を経営する際は同業だけでなく、ホテルや旅館も競合となります。外国人にとっても魅力的な宿泊施設が多い点も、民白経営が失敗につながる理由です。

近隣に設備が整ったビジネスホテル・シティホテルが揃っている状況であれば、自分が運営する宿泊施設を利用してもらう難易度は高くなります。日本人の利用も可能ですが、国内旅行で民泊施設を選ぶ人は珍しいでしょう。

海外からの観光客に選ばれるためには、日本民家ならではの伝統や料理を感じたり、料金設定を安くしたりと、ホテルや旅館と差別化する工夫が必要です。

民泊経営で失敗する人に共通する4つの特徴

民泊経営に失敗してしまう方には、共通して見られる以下の特徴があります。

  1. 立地選びにこだわっていない
  2. 顧客のニーズが把握できていない
  3. 収益シミュレーションが甘い
  4. 集客が上手くできていない

4つの特徴について、具体例を交えながら解説していきます。

1. 立地選びにこだわっていない

一般的な不動産投資と同じように、民泊経営においても立地選定が重要です。購入費用を抑えることは大切ですが、立地選定においても妥協せず、物件探しは時間をかけて行いましょう。

  • ターミナル駅や観光名所まで徒歩圏内
  • 空港までアクセスしやすい

特に、上記のような利便性が良い立地は好まれやすく、継続的に人の流れを見込めるでしょう。駅から遠くタクシー乗車を要するなど、宿泊費以外のコスト負担が大きい物件は、宿泊客から敬遠されやすいので注意が必要です。

2. 顧客のニーズが把握できていない

顧客ニーズを把握できていないことも、民泊に失敗する人の特徴として挙げられます。2024年に観光庁が公表した「訪日外国人消費動向調査(2023年集計)」によると、外国人が「訪日前に期待していたこと」の1位は「日本食を食べること」でした。

次いで「日本の酒を飲むこと(日本酒・焼酎等)」と飲食への期待が高いことが明らかになっており、民泊経営ではこれらの体験ニーズの提供も重要と言えます。また、外国人が宿泊施設を選ぶ際には「お風呂」「トイレ」といった水回りを重視する傾向にあり、綺麗かつ清潔にしておくことが求められます。

とくに和式トイレは外国人に敬遠されるため、古民家を改装する際には注意が必要です。また、英語など複数の言語で宿泊案内などの説明書を用意しておくと、なお良いでしょう。

参考:観光庁「訪日外国人消費動向調査」

3.収益シミュレーションが甘い

民泊経営においては、事前の収益シミュレーションが非常に重要ですが、意外と出来ていない方が多いようです。おおよその取得コストとランニングコストを計算するのみで「これぐらいなら大丈夫だろう」と、なんとなくで始めてしまう方が見受けられます。

投資ではあらゆるリスクを考慮した、緻密なシミュレーションが必要です。

  • 180日のうち120日しか予約が入らなかった場合
  • 夏場は100%だが、冬場は50%しか予約がなかった場合
  • 光熱費が2割上昇した場合
  • 人件費が1割増加した場合

シミュレーション時には、上記のように様々なシーン予想が求められます。また、実際に経営がスタートしたら、シミュレーションに対する実際の運用コストを比較するなど、定期的な見直しも必要です。

4. 集客が上手くできていない

民泊経営に失敗する方は、ターゲット層への集客が正しく出来ていません。多くの民泊経営者はポータルサイトからの予約をメインの集客法としており、そこにはマーケティング力が求められます。

「魅力的な部屋に見せるために明るく綺麗に写るよう撮影する」という基本的なことだけでなく日本の小物を置くなど、和を感じられる魅せ方への工夫や配慮も必要です。訪日外国人から見て、マイナスイメージに誤認されるような情報が載っていないかもチェックしましょう。

例えば、他の宿泊者や近隣への騒音を懸念して、繁華街へアクセスしやすい物件で夜の門限を設けてしまうなどです。他の方への配慮はもちろん大切ですが、せっかく海外から観光へ来たのに、日本での夜のエンターテインメントを楽しむことが出来なくなってしまいます。

掲載サイトは自分の宿が埋もれてしまう可能性が高いので、工夫しても上手くいかない場合は、SNSを活用した宣伝も試してみてください。

民泊経営でよくある3つの失敗例

過去、実際にあった民泊経営での失敗例には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、開業前によくある失敗例を2つ、開業後によくある失敗例を1つ紹介します。

  1. 旅館業の営業許可を得られなかったケース
  2. 用途地域の制限で宿泊事業の運営ができなかったケース
  3. 季節要因が経営に打撃を与えたケース

同じ失敗をしないよう、ご自身で経営した場面をイメージしながら確認してみてください。

1.旅館業の営業許可を得られなかったケース

宿泊施設として運営準備を進めていたのに、旅館業の営業許可が得られず開業できなかった事例です。民泊として営業するには、以下3つの制度のうち1つを選択して許可を取得します。

  • 民泊新法
  • 旅館業法の簡易宿泊営業
  • 特区民泊
    ※特区民泊は一部の認められた地域に限るので、基本的には「民泊新法」「旅館業法の簡易宿泊営業」のいずれかです。

この例では、365日営業できる旅館業法の許可を得るため申請をしましたが、民泊新法よりも許認可のハードルが高く、必要書類が揃わず許可が下りませんでした。改装のため一部リフォームを行ったものの「公的に認められる提出用図面がない」というような事例があります。

2. 用途地域の制限で宿泊事業の運営が出来なかったケース

「用途地域の制限」によって、開業ができなかったケースがあります。旅館業法では「住居専用地域」での宿泊事業の開業は認められていません。民泊新法においては認められるケースもありますが、居住者の生活を保護する住居専用地域では、営業時間などの制限がある場合があります。

地域の条例を遵守しなくてはならず、せっかく物件を購入したのに開業できないケースが見られました。とくに初めて民泊を開業する方は、入念なリサーチと専門家によるアドバイスを受けるようにしましょう。

3. 季節要因が経営に打撃を与えたケース

開業後に想定外の要因で廃業に追い込まれたケースもあります。民泊は開業するよりも経営を維持することの方が大変で、スタート後の資金繰りの悪化は民泊経営で最も多い失敗理由です。

その中でも想定しきれなかった地域独自の季節要因によって、運営を打撃を与えた事例があります。例えば、以下のような要因です。

  • 札幌での民泊経営は、冬場の暖房量や追い炊き機能による光熱費が想定以上に多かった
  • 沖縄で民泊を始めたが冬場の観光需要が想定以上に低く、稼動率が50%以下になってしまった。

一方で季節要因を考慮しすぎて、はじめからオール電化にするなど設備投資しすぎることも考え物です。特に初心者は、北海道のような極寒地や東北や北陸の一部の寒冷地、また沖縄県のように温暖な気候の地域での民泊経営は避けるようにしましょう。

民泊経営で失敗を回避するポイント3選

民泊には失敗につながる要因もありますが、戦略的に行うことで成功している事業者はたくさんいます。ここでは、初心者が民泊経営で失敗を回避するためのポイントを3つ解説します。

  1. 専門家へ相談する
  2. 管理会社へ委託する際は費用対効果を検証する
  3. ターゲットの不安を解消するサービスで差別化する

一つひとつ確認していきましょう。

1. 専門家へ相談する

民泊新法では、宿泊事業における許可の取得は比較的容易なので、独力で始めることは可能です。しかし、専門家に以下のようなポイントを相談しておくことで、回避できる失敗も数多くあります。

  • 収益シミュレーション
  • 民泊・不動産に関する法規制
  • 事業に適した立地 など

実績が多い会社であれば、たくさんの宿泊者の生の声を教えてもらうことで実際の運営に反映させられます。また、すでに民泊経営を始めている方のセミナーなどに足を運び、経験者から情報収集するのもおすすめです。とくに初心者は独断で行動せず、専門家に相談するようにしましょう。

2. 管理会社へ委託する際は費用対効果を検証する

民泊経営は「自己管理」と「委託管理」の2つの方法があります。委託管理に要する費用は毎月のランニングコストとなりますが、初心者の自己管理は思いがけないトラブルへの対処が難しいでしょう。

特に複数の宿泊者が集う一棟アパートでは、指定日以外でのゴミ出しや騒音といったトラブルが懸念され、悪い口コミに繋がりかねません。管理会社が入りしっかりとした対応をすることで、良い口コミへと繋がります。

一方で、管理委託料は支出コストの大きな割合を占めます。運営する物件の特性や距離などの条件、ご自身のノウハウなど総合的な費用対効果を検証して判断しましょう。

民泊の管理方法について詳しく知りたい方は、関連記事「【初心者必見】民泊の管理方法は2通り!委託が必要なケースと自分で行う方法を紹介」をあわせてご確認ください。

3. ターゲットの不安を解消するサービスで差別化する

数ある中から自分の宿泊施設を予約してもらうには、宿泊客の不安を解消したり付加価値を提供したりする施策が重要です。ご自身の民泊のターゲットを明確に設定し、その層へのリサーチに基づきブランディングを行います。

例えば、日本に長期滞在をする外国人旅行者には、毎日レストランでの外食では疲れてしまいます。慣れ親しんだ母国の料理を作れるよう、キッチン周りの調理器具や調味料は揃えておきましょう。さらに電気ケトルやコーヒーメーカーなども充実させておくことで、競合と差別化を図ることにつながります。

また、メインターゲットを子供のいるファミリー層とする場合は、室内の段差をなくして子供のおもちゃをたくさん準備するなどの工夫を行うと良いでしょう。子供用のお箸やコップ・アメニティの用意など、他にないサービスで差別化を図ってみてください。

まとめ

民泊経営は失敗しやすいと言われることもありますが、その理由や失敗する人の特徴は共通しています。インバウンドが伸びてきて民泊需要が高まっている背景があり、運営に成功している方は多いです。初心者でも仕組みや法規制を理解することで、しっかりとリスクヘッジしながら民泊経営を行うことが可能です。

大切なのは、専門家の意見を聞き、緻密な計画とシミュレーションを行ったうえで、競合と差別化を図ることです。本記事でお伝えした内容をもとに、ぜひ民泊開業への第一歩を踏み出してみてください。

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