「民泊の清掃は専門の会社に依頼した方がいいの?」
「清掃業務を外注して採算があうのか不安」
「何を基準に清掃代行業者を選べば良いかわからない」
民泊を始めるにあたって清掃を専門の業者に外注する際、どのように業務を依頼したら良いのかわからない方は多いのではないでしょうか。清掃状況は民泊の評価に大きな影響を与えるため、代行業者選びは非常に重要です。そこでこの記事では、民泊の清掃代行について以下の項目に沿って解説します。
- 基本的なサービス
- 清掃代行が重要な理由
- 料金相場
- 追加で依頼したいサービス
- 清掃代行を選ぶ際のポイント
清掃代行の全体像がわかるようになっているので、民泊を始めるにあたって清掃業務の品質が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
民泊清掃代行に依頼できる基本的なサービス内容
民泊の清掃代行とは、運営者が行う清掃業務を外部へ委託することです。さまざまな業者があるため、細かなサービス内容はそれぞれ異なります。ただし一般的には「基本プラン」と「追加・オプション」に分けて料金設定されている場合がほとんどです。例えば基本プランの内容には、以下の清掃と整理整頓が含まれているケースが多いです。
- 寝室
- リビング
- キッチン
- 洗面所
- トイレ
- お風呂
基本プランでは対応しきれないと判断した際には、追加オプションを検討してみてください。追加できるサービスは「リネンの交換と洗濯」「ゴミの回収と処理」など、民泊運営において重要な業務が多数あります。
住宅宿泊管理業者への委託業務について詳しく知りたい方は、関連記事「【必見】住宅宿泊管理業者へ委託できる5つの業務!費用相場や委託方法について解説」をあわせてご確認ください。
民泊の清掃代行を依頼する4つの重要性
代行を依頼することで、清掃にかかる手間や時間を削減できます。そのほかにも運営に関わる良い点があるため、ここでは「なぜ清掃代行を依頼することが重要なのか」について以下の4点を紹介します。
- 民泊新法では清掃代行が必須の場合がある
- 清潔さがレビューと集客に影響する
- 宿泊施設は一泊でも汚れやすい
- 専門会社の知見やアドバイスを受けられる
法律に関する内容を含んでいますので、しっかりと内容を確認してください。
1. 民泊新法では清掃代行が必須の場合がある
民泊新法の届出で民泊を運営するケースで、オーナー自身が常駐していない場合は「住宅宿泊管理業者」に清掃代行を依頼する必要があります。正確には「運営代行」を依頼する必要があり、清掃も代行業務の1つとして扱われるイメージです。
清掃に関しては、契約している住宅宿泊管理業者が直接行う場合と、別の清掃業者へ再委託する場合があります。オーナーが再委託先を探すことも可能です。オーナー自身が再委託を受けて、清掃業務を行う選択肢もあります。住宅宿泊管理業者と契約する際には、清掃業務の方針をよく確認しておきましょう。
2. 清潔さがレビューと集客に影響する
レビュー文化が根付く民泊において、清潔さを維持することは重要です。例えば民泊のプラットフォームの最大手であるAirbnbでは、ゲストとホストが相互レビューを行う仕組みになっており、清掃に関する評価項目が設けられています。また「清掃」は、コメントで触れられることが多い項目でもあります。
実際に観光庁が行った「住宅宿泊事業の実態調査」では、民泊利用経験者への問いで「良かったこと・満足したこと」について30.4%の人が「部屋・浴室・リネン類等が清潔だった」と回答しており、清掃の重要性がうかがえます。
参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」
3. 宿泊施設は一泊でも汚れやすい
民泊を利用するシチュエーションとして「旅行」が最も多く考えられます。旅行時は家族や仲間とお酒や食事を持ち込んで食べたり料理したりするため、基本的に施設が汚れやすいです。特にキッチン周りは油などの影響で、たった一泊でも汚れが目立ちます。
民泊利用経験者へのアンケートでは「今後民泊を利用したい人」のうち「キッチンが使えるから」と答えた人は23.3%と、5人に1人はキッチンに期待しています。清掃代行ではプランによっては排水溝の掃除やゴミ処理など、細かいところまで対応してくれるため、安心して任せられるでしょう。
参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」
4. 専門会社の知見やアドバイスを受けられる
清掃代行はすでにほかの物件で清掃に携わっていることが多く、どのポイントが汚れやすいかを把握しています。また、サービスを利用することでオーナーが法的なリスクを侵さずに済んだり、スムーズな運営に必要なアイディアをもらえたりもします。
例えば、民泊で発生したゴミは事業系に分類され家庭ゴミとは分けて処分しなければならず、この点はアドバイスがないと気が付きにくいでしょう。また、リネンサプライ(リネンの配達から回収・洗濯までを行ってくれるサービス)の利用で大幅に業務の効率化を図れるなど、運営に役立つ知見を多数持っています。このように清掃業務だけでなく、アドバイザーのような役割を果たしてくれるのも清掃代行の良いところです。
民泊清掃代行の料金相場
清掃代行の料金に関して、筆者が実際に「民泊清掃代行」と検索して該当した上位10社を中心に調査・比較を行いました。その結果、料金は業者によって以下の通り「基準」が異なることがわかりました。
- 10社中7社:部屋面積
- 10社中1社:利用人数
- 10社中1社:間取り
- 10社中1社:混合
それぞれの具体的な料金については、以下の表を参考にしてみてください。
~30㎡ | 3,000~5,500円 |
~50㎡ | 4,000~6,800円 |
~80㎡ | 6,600~9,900円 |
それ以上 | 8,500円~応相談 |
2名 | 3,000円 |
3~4名 | 4,000円 |
5~6名 | 4,500円 |
7~8名 | 5,000円 |
9~10名 | 5,500円 |
1K~1DK | 6,300円~ |
1LDK~2DK | 7,650円~ |
2LDK~3DK | 9,000円~ |
3LDK~ | 10,350円~ |
「住生活基本計画における居住面積水準」によると、単身者に必要な最低居住面積水準は25㎡であり、上記の表に見られる30㎡(約18畳)は一人暮らしでゆとりがある部屋面積であることがわかります。つまり民泊施設においては、広さのある一棟貸し物件を除いて、1部屋あたり3,000〜5,000円程度の清掃料金が目安になります。
民泊清掃代行に依頼できる追加サービス5選
ここでは、基本プランに加えて依頼できる可能性のあるサービスを5点紹介します。
- リネンの交換と洗濯
- ゴミの回収と処理
- 消耗品の購入と補充
- 郵送物の受取と回収
- 嘔吐物の処理など特殊清掃
別途費用が発生しますが、依頼することでオーナーの労力を省きながら宿泊客の満足度も高まるでしょう。また、実際のサービス内容は業者ごとに異なりますが、清掃代行を選ぶ際の参考にしてみてください。
1. リネンの交換と洗濯
リネンとは、以下のような宿泊施設で使う布製品を総称した呼び方です。
- シーツ
- 枕カバー
- 掛け布団カバー
- タオル
- 足ふきマット
リネンの交換や洗濯はオーナーが自分で行おうとすると大変な手間となるため、外部へ委託するのが現実的です。そのため、基本料金に「リネンに関するサービス」をあらかじめ追加した料金が明記されている場合もあります。業者により専用の大型洗濯機を保持していたり、リース会社と提携していたりするので、どのように対応しているかは確認しておきましょう。
2. ゴミの回収と処理
民泊で出たゴミは、事業系ゴミとして取り扱います。事業系ゴミは、一般家庭で出たゴミとは分けた上での処理が必要です。処理の仕方については、一般的には以下の方法がとられます。
- 産業廃棄物処理業者に事業ゴミ収集に来てもらう
- 自身で事業ゴミを業者へ持ち込む
- 自治体で指定されたステッカーをゴミ袋に貼る
ゴミの処理について約5割は産業廃棄物処理業者に収集を依頼し、約2割は自身で業者へ持ち込んでいるとのデータがあります。清掃代行は廃棄業者とのつながりを持っていることが多く、ゴミ処理を依頼する際も安心です。
参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」
3. 消耗品の購入と補充
清掃代行には、宿泊施設で使う以下のような「消耗品類」の管理も依頼できます。
- 電球
- 洗剤
- 歯ブラシ
- シャンプー・リンス
- トイレットペーパー
購入代行と設置までお任せできるため、オーナーは買い出しと物件への運搬を行う必要がありません。とくに外国人はシャンプーやリンスなど、お風呂場で使用する石けん類の使用量が多いです。そのため、外国人宿泊者が多い物件を運営しているオーナーは、こまめに残量を確認する必要があります。ただし、消耗品の補充を清掃代行に依頼すると、実費のほかに手数料も請求される点は理解しておきましょう。
4. 郵送物の受取や回収
オーナーが発注した備品や、その他の郵送物を現地で受け取るサービスがあります。備品を物件に直接郵送したい場合、オーナーがわざわざ物件へ出向く必要がなく便利です。
また、ポストに投函された郵便物やDMの回収や、指定場所への保管を依頼できるサービスもあります。郵便物が溜まっているとゲストや近隣住民からの印象も悪くなるため、対策できると良いでしょう。
5. 嘔吐物の処理など特殊清掃
ごくまれにですが、嘔吐物の処理が必要になる場合があります。ウイルスの繁殖や臭いなどの発生を防ぐため、素早く対処することが求められます。追加費用はかかりますが、専門の清掃用品を持った業者へ依頼すると安心です。
お酒を持ち込むゲストには注意を促す、レビューを参考に過去に問題を起こしているゲストはお断りするなど、できる限りの事前対策も大切です。
民泊清掃代行業者を選ぶ際のポイント4選
清掃代行へ依頼したいと思っても、業者を選ぶ際の基準がわからないと困りますよね。そこでここでは、業者選びのポイントとして以下の4点を紹介します。
- 料金体系の明確さ
- 清掃のクオリティと信頼性
- 賠償責任保険加入の有無
- 対応している地域
依頼する決め手となるポイントを集めましたので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 料金体系の明確さ
まずは「基本料金には何が含まれているのか」「追加料金がわかりやすく示されているか」確認しましょう。清掃代行は「基本プラン」と「追加・オプション」に分かれた料金体系となっていることが一般的です。
また、キャンセル料や繁忙期の追加料金など、例外的に発生する費用もあります。例えばキャンセル料の相場は「前日で50%」「当日で100%」です。ゴールデンウイークや夏休みなどの大型連休は民泊の繁忙期にあたり、これらの時期には通常の2倍程度の料金設定となる点も押さえておきましょう。
2. 清掃のクオリティと信頼性
清掃のクオリティを判断するために、清掃後に完了連絡をもらえるサービスがあります。LINEやChatworkなど誰でも手軽に使えるチャットで、清掃の様子を写真付きで連絡してくれる業者もあります。
ただし、できればご自身の目で清掃後の現場を確認するのがおすすめです。その際、自分用の「清掃チェックリスト」などを用意しておくと便利です。清潔さは民泊物件の評価に直結するので、業者の信頼性を確かめられるまでは慎重に対応していきましょう。
3. 賠償責任保険加入の有無
「賠償責任保険」とは、日常生活や仕事中に起こった事故やトラブルによって賠償責任を負った場合に、賠償金を補償してくれる保険です。業者がこの保険に加入していると、例えば清掃中に担当者が部屋の物を壊してしまったときでも補償されます。こだわったインテリアで内装を揃えているオーナーには、とくにおすすめしたいサービスです。
4. 対応している地域
清掃代行は現場作業になるため、対応している地域が限定されます。都道府県だけでなく区や市など、営業範囲がごく限られたエリアとなっていることもあります。
まずは「民泊営業を行うエリアを対応してくれる業者がいるか」を確認しましょう。また、地方は清掃業者が少ないため、見つからない場合はご自身で清掃を行う(常駐しない場合は住宅宿泊管理業者から再委託を受ける)ことも検討してみてください。
まとめ
民泊物件を選ぶ際に「清潔さ」は重要項目です。清掃代行を利用することで、オーナー自身が対応することなく部屋を清潔に保つことが可能です。また、民泊の運営スタイルによっては、住宅宿泊管理業者への清掃を含んだ業務委託が法律で定められています。
清掃代行にかかる料金は部屋面積を基準としていることが多く、利用人数や間取りなどを取り入れている業者もあります。商品は「基本」と「追加・オプション」に分かれていることが多いです。
とくにリネンの交換とゴミ処理については、業者に依頼するとオーナーの手間が大幅に削減されます。業者を選ぶ際は「料金体系」「業者の信頼性」「対応エリア」などに注目してみてください。
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