「賃貸物件でも民泊って始められるのかな?」
「民泊に向いている賃貸物件の探し方が知りたい」
「賃貸と所有物件って民泊の始め方にどんな違いがあるの?」
賃貸物件を利用すれば、購入するより支出を抑えて民泊が始められます。また、所有物件と比べて低リスクで始められるのも賃貸の魅力です。
ただ一方で、賃貸物件ならではの注意点や準備の仕方があるので注意が必要です。
そこで、この記事では以下の内容について解説します。
民泊に向いている賃貸物件の探し方も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
民泊とは?30秒でサクッと解説
民泊とは、住宅を宿泊施設として貸し出して収益を得るビジネスモデルを指します。近年、外国人にサービスを提供するインバウンドビジネスの需要が高まり、民泊運営の人気は上昇傾向にあります。
また民泊には、さまざまな形態があり賃貸物件でも始めることが可能です。民泊は以下の3種類に分類され、それぞれ開業方法や制限が異なります。
簡易宿所型民泊(旅館業法) | 国家戦略特区法(特区民泊) | 住宅宿泊事業法(新法民泊) | |
宿泊日数の制限 | 1泊2日~ | 2泊3日(大田区は6泊7日) | 1泊2日~ |
特徴 | ・365日間運用が可能・高収益が期待できる・運営開始のハードルが高い・営業可能地域が限られている | ・営業可能地域が限られている・旅館業法よりも運営開始のハードルが低い | ・届出のみで開始できる・運営開始のハードルが低い・年間営業日数の制限がある |
営業日数の制限 | なし | なし | 年間180日未満 |
申請・届出 | 保健所 | 各自治体 | 都道府県知事 |
民泊を無断で運営するのは、違法行為です。許可あるいは届出をしなかった場合、懲役や罰金などの対象となるので注意しましょう。
また、賃貸物件で運営するには、大家さんや管理組合(分譲マンションを借りている場合)に民泊の許可を得る必要があります。無断で民泊を運営した場合、契約が解除されるケースも。違法やトラブルにならないために、正しい民泊の開業方法をしっかりと理解しておきましょう。
参照元:民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業者の届出に必要な情報、手続きについて」
民泊における賃貸と所有物件の4つの違い
民泊の物件を準備する方法には「賃貸」と「所有」の2種類あります。ここでは、民泊における賃貸と所有物件の違いについて解説します。
税金やリフォーム費用などランニングコストについても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 自由度
所有物件では、自分がオーナーになれるので自由度が高くなります。壁や床などを含めた内装を好きなようにカスタマイズして、イメージどおりのデザインで民泊施設が作れます。
また、注文住宅なら1から自分好みに作り上げられるので、民泊施設にこだわりがある方におすすめです。ただし、分譲マンションの場合は、管理規約を確認する必要があるので注意しましょう。
一方で、賃貸物件は壁や床など内装のカスタマイズができないので、自由度は低くなります。さらに賃貸物件は、退去時に原状回復の義務が発生するのがほとんどです。
あくまで大家さんから借りているだけなので、設備や内装は本来の状態を維持しなければなりません。また、そもそも民泊自体が認められていない物件もあります。そのため、転貸可能な物件でも、大家さんや管理組合に必ず許可を取りましょう。
2. リスク
賃貸物件は、民泊運営におけるリスクが小さいという点が大きなメリットです。例えば、想定より利用者が少なかったり隣人トラブルがあったりしても、所有物件より手軽に引っ越しできます。また、所有物件と比較して初期費用が抑えられる分、金銭的なリスクも小さいと言えます。
ただし賃貸物件の場合は契約更新ができなかったり、立ち退きを求められたりするリスクがあることを頭に入れておきましょう。
一方で、所有物件には災害のリスクがあります。所有物件の修繕は、すべて自分で行う必要があるからです。近年は、大雨による浸水など自然災害が増加傾向にあります。
そのため、土地に関係なく災害リスクを考えることが大切です。また、賃貸と比べて撤退しにくく、引っ越しが簡単にできない点も所有物件のリスクとなります。
民泊を始めてから後悔しない為に、それぞれのリスクを理解した上で、自分に合った物件を探しましょう。
3. 収益の取り分
賃貸と所有物件では、収益の計算方法が異なります。賃貸物件の賃料には、オーナーや管理会社の利益、手数料などが含まれています。
一方で所有物件の場合は、ローンを組んで購入している方がほとんどです。また、分譲マンションの場合は管理費・修繕積立金の支払いもあります。元々の所有物件でローン返済がない場合は、収益の取り分が増やせる点が魅力です。
賃料よりローン返済額などが少ない場合は所有物件の方が収益性が高いですが、借り入れを行うリスクがあります。
4. ランニングコスト
所有している不動産には、固定資産税がかかります。民泊は住宅の優遇が受けられないため、固定資産税の減額措置が得られません。そのため、一般の住宅と比べて、税金の負担が大きいことを想定しておきましょう。
また、所有物件の設備交換や修理は、すべて自己負担となります。屋根や外壁の塗装には、150〜180万円、水回りのリフォームには100万以上かかることも。そのため、修理や交換に必要な資金を確保しておくことが重要です。
一方で、賃貸物件の設備は大家さんの私物となります。経年劣化によるエアコンの交換や、修繕費用の負担が少ない点がメリットです。中には管理費や修繕積立金がかかるケースがありますが、急な支出を避けられるのが賃貸物件の魅力です。
また、賃貸物件には固定資産税の負担がないのもメリットとなります。したがってランニングコストを抑えたい方には、賃貸物件がおすすめです。
賃貸物件での民泊を始め方5ステップ
賃貸物件での民泊は、以下の5ステップで開業できます。
賃貸契約を結ぶ際の注意点も詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 民泊のエリアを決める
民泊事業では、エリア選定が非常に重要です。需要の低いエリアでは、安定した収益が得られないので慎重に決めましょう。
例えば、民泊のエリアを選ぶ際のチェックポイントには、以下のようなものが挙げられます。
駅からのアクセスはもちろん、スーパーやコンビニが近くにあるなど、利便性を考えるのも大切なポイントです。さらに、自治体によっては平日に民泊が運営できないエリアがあるので、地域の条例もしっかりと確認しておきましょう。
2. 物件の賃貸契約を結ぶ
エリアを決めたら、民泊が可能な物件を探し賃貸契約を結びます。一般的に賃貸契約は、第三者に貸す「転貸」が禁止されているケースがほとんどです。
また、転貸可能な物件であっても大家さんや管理組合に無断で民泊運営した場合、契約解除となる可能性もあります。民泊が可能な物件でない場合は、事前に必ず大家さんや管理組合の許可を得ましょう。
転貸物件での民泊について詳しく知りたい方は、関連記事「【注意】又貸しの物件で民泊営業が違法となる2つの理由!必要な手続きや契約のポイントを解説」をあわせてご確認ください。
3. 設備・内装を整える
賃貸契約が完了したら、民泊に必要な設備や内装を整えます。例えば「旅館業法」の許可を得るには、消防用設備を準備する必要があります。消防法や自治体の条例に基づき、消防用設備や洗面設備の準備をしましょう。
また清潔感のない民泊は、悪い口コミに繋がる可能性があります。使いやすい家電や快適に過ごせるための家具を整え、ゲストの満足してもらえるような施設にすることが大切です。
4. 申請・届出を提出
民泊形態によって、必要な書類や申請先は異なります。手続きの窓口や必要書類は、以下のとおりです。
簡易宿所型民泊(旅館業法) | 国家戦略特区法(特区民泊) | 住宅宿泊事業法(新法民泊) | |
提出窓口 | 保健所 | 各自治体 | 保健所・ポータルサイト(オンライン) |
必要書類 | ・登記事項証明書・見取り図・配置図・平面図・構造設備の仕様図・水質検査成績書・土地・建物登記簿謄本・検査済証 | ・申請書 ・住民票の写し ・賃貸借契約またはこれに付随する契約に係る約款・施設の構造設備を明らかにする図面 | ・届出書・住宅の図面・欠格事由に該当しない事の誓約書・転貸承諾書 |
書面のダウンロードや必要書類の確認は、国が運営する「民泊制度ポータルサイト」にて行えます。どの形態の民泊であっても、申請または届出が必要となるので、必ずチェックしておきましょう。
参照元:民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業者の届出に必要な情報、手続きについて」
5. 民泊サイトへ登録
民泊サイトとは、宿泊サービスを提供したい方と借りたい方のマッチングが行えるサービスです。申請あるいは届出が完了したら、民泊サイトへ登録しましょう。
民泊サイトに予約要件や料金などを掲載することで、誰でも手軽に集客活動ができます。まずは、世界的な人気を誇る「Airbnb」や手数料の安さが魅力の「STAY JAPAN」の登録がおすすめです。
登録前には、民泊サイトに掲載するための写真を準備しておきましょう。
民泊について詳しく知りたい方は、関連記事「【2023年最新】民泊向けOTAの6サイトを手数料で比較!特徴や集客のポイントを解説」をあわせてご確認ください。
民泊を始める賃貸物件の探し方3選
「そもそも民泊の物件はどのように探せば良いのか」と悩まれている方が多いのではないでしょうか。ここでは、民泊に向いている賃貸物件の探し方を紹介します。
大家さんの許可を取る手間が省ける方法も紹介するので「スムーズに民泊物件を探したい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 民泊ポータルサイト
「SUUMO」や「at home」などの一般的なポータルサイトでは、転貸や民泊を許可していない物件が多いです。一方で、民泊ポータルサイトを利用すれば、手軽に民泊が可能な物件が探せます。
また、民泊可能な物件のみを扱っているので、大家さんや管理組合に許可を取る手間が省けるのも魅力です。
さらに、ポータルサイトでは以下の条件を絞り込んで検索できるので、希望の物件が見つけやすいのもメリットです。
まずは「民泊物件.com」や「MINCOLLE」など大手民泊ポータルサイトに登録してみることをおすすめします。また、初期費用や収入を想定できるサイトもあるので、自分に合った民泊ポータルサイトを探してみましょう。
2. 不動産会社
不動産会社は、ポータルサイトに掲載していない物件の情報を持っているケースがあります。特に、地方では独自のパイプを持っている不動産会社が、古民家など民泊に向いている物件を管理していることがあります。
ただし、一般的には民泊可能な物件を扱っていない不動産会社が多いです。不動産会社で物件を探す際は、事前に民泊に利用したい旨を必ず伝えておきましょう。
3. 空き家バンク
空き家の増加が問題となっている背景があり、国土交通省では「空き家バンク」という取り組みが行われています。「空き家バンク」とは、自治体が空き家情報を提供し、当事者同士で賃貸の交渉ができるサイトです。
空き家物件は「全国版空き家バンク」にて検索が可能です。自治体によっては住宅用に限定している物件もあるため、賃貸条件を確認しておきましょう。
賃貸物件での正しい民泊の始め方を抑えて開業しましょう
賃貸物件では、転貸が許可されていないと民泊は始められません。また、転貸可能な物件でも大家さんや管理組合に民泊運営の許可を得る必要があります。
そこで「民泊ポータルサイト」を利用すれば、民泊運営が可能な物件のみを扱っているので、大家さんに許可を得る手間が省けます。
民泊事業は、今後さらに需要が高まることが予測されています。そして、賃貸物件を利用すれば、不動産を購入しなくても低コストで民泊運営が可能です。支出やリスクを抑えたい方は、賃貸物件で民泊運営に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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